裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
昭和60(行ウ)8
- 事件名
行政処分取消各請求事件
- 裁判年月日
平成2年5月29日
- 裁判所名
那覇地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第6号)は,憲法前文の趣旨,憲法9条,98条2項に違反し違憲無効であることが一見極めて明白であるとは認められないとした事例 2 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法は,憲法前文の趣旨,憲法9条,29条3項,31条に違反しないとした事例 3 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法5条に基づき内閣総理大臣がした土地使用認定処分が,憲法29条3項,31条に違反しないとされた事例 4 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法3条の意義 5 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法3条の要件充足性の判断基準 6 在日アメリカ合衆国駐留軍施設内に存在する市有地について,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法5条に基づいて内閣総理大臣がした土地使用認定処分が違憲,違法であるとして,市が提起した同処分の取消しを求める訴えが,同処分には違憲な点はなく,また,前記の土地にはこれを駐留軍の用に供するため提供すべき高度の必要性があり,かつ,その提供により得られる公共の利益は,これにより失われる利益に優っているものということができるから,同法3条の要件を充足しているとしてした同処分には,裁量権の逸脱ないし濫用があったということはできないとして,棄却された事例
- 裁判要旨
4 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法3条にいう「駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合」とは,駐留軍の用に供するため土地等を提供する客観的必要性が存する場合を指し,また,「適正且つ合理的」とは,土地等の提供の客観的必要性が高く,かつ,その提供により得られる公共の利益がこれにより失われる利益に優っていることを意味する。 5 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法3条の要件充足性の判断については,その性質上,政策的かつ技術的な側面が存することから,内閣総理大臣には,一定の範囲において裁量の余地が認められ,その判断に裁量権の逸脱ないし濫用があった場合に限り,同法5条に基づく内閣総理大臣の土地使用認定処分は違法となる。
- 全文