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行政事件 裁判例集

事件番号

 昭和59(行コ)9

事件名

 福島第二原子力発電所原子炉設置許可処分取消請求控訴事件

裁判年月日

 平成2年3月20日

裁判所名

 仙台高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和53年法律第86号による改正前)24条1項4号の意義 2 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和53年法律第86号による改正前)23条に基づいて内閣総理大臣のした原子炉設置許可処分につき,当該原子炉施設周辺の住民は,経験則上等から一見明白に原子炉等による災害による被害を受けないと認められる者を除いては,同処分の取消しを求める訴えの原告適格を有するとした事例 3 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和53年法律第86号による改正前)23条に基づいて内閣総理大臣のした原子炉設置許可処分につき,当該原子炉施設から約50数キロメートルの距離内に居住している周辺住民が,その取消しを求める訴えの原告適格を有するとされた事例 4 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和53年法律第86号による改正前,以下同じ。)23条に基づく原子炉設置の許可申請が同法24条1項3号中の技術的能力に係る要件及び同項4号の要件に適合するとした内閣総理大臣の判断は,専門技術的裁量判断であるとした事例 5 原子炉施設の安全性の基準を,具体的個別事由で限定された法律要件をもって定立し,原子力発電のトータルシステムに対する安全審査を経て,周辺住民が参加する諸手続を履行した上で,設置許可処分を行う方式にするか,それとも,法律には抽象的枠組を定めるにとどめ,具体的な安全判断を行政庁の専門技術的裁量にゆだねた上,段階別・分野別規制の方式に従って順次かつ個別的に,専ら科学技術的見地からこれを審査して設置許可処分を行う方式にするかは,立法機関の決すべき事項であり,立法機関が,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和53年法律第86号による改正前)23条,24条について,後者を採用した政策判断が,憲法31条,41条,73条に違背しているとは解されないとした事例 6 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和53年法律第86号による改正前)23条に基づき内閣総理大臣がした原子炉設置許可処分につき,手続上の違法はないとした事例 7 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和53年法律第86号による改正前)23条に基づく原子炉設置の許可申請が同法24条1項3号中の技術的能力に係る要件及び同項4号の要件に適合するとして内閣総理大臣がした原子炉設置許可処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 1 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和53年法律第86号による改正前)24条1項4号は,一般的な公益だけではなく,原子炉施設周辺の住民の生命,身体等の個人的利益をも保護目的としている。

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