裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
昭和62(行ウ)9
- 事件名
公文書非開示決定取消請求事件
- 裁判年月日
平成元年11月9日
- 裁判所名
宇都宮地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)が公文書の開示をしないことができる事由として定めた規定(適用除外規定)の解釈につき,同条例は,個人のプライバシーについては最大限の配慮をしながらも,適用除外規定については,行政側の恣意的な解釈,運用を排除し,県民の公文書開示請求権の実質的な保障を図ろうとするものであるから,主として行政機関側の利益を目的とした適用除外規定の判断に当たっては,行政機関の主観的な判断を基準とすべきではなく,公文書の内容等に照らし客観的に判断すべきであるが,同条例の定める公文書開示請求権は,憲法21条で保障された権利ではなく,あくまでも同条例によって創設された権利であるから,前記適用除外規定を条例の規定する文理及び趣旨を超えて限定的に解すべき理由はないとした事例 2 知事交際費につき支出の月日,相手方の氏名,職名等及び支出金額を記載した現金出納簿のうち,特定の交際とのかかわりのない封筒代,葉書代等の支出に関する情報の記載を除いた部分が,公文書の開示をしないことができる事由として定めた栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)6条5号にいう「県の機関又は国等の機関が行う検査,監査,取締り,争訟,交渉,入札,試験その他の事務に関する情報であって,当該事務の性質上,公開することにより,当該事務若しくは同種の事務の実施の目的が失われ,又はこれらの事務の公正若しくは適切な実施を著しく困難にするおそれのあるもの」に該当するとした事例 3 知事交際費につき支出の月日,相手方の氏名,職名等及び支出金額を記載した現金出納簿が公文書の開示をしないことができる事由(適用除外事由)として定めた栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)6条5号に該当するとして,県知事がした前記文書の非開示決定が,同文書に記載された情報のうち特定の交際とのかかわりのない封筒代,葉書代等の支出に関する情報は同条例6条1号ないし7号所定の適用除外事由のいずれにも該当しないが,その情報に関する部分のみを開示したとしても,同文書についての開示請求の趣旨が失われることは明らかであるから,部分開示義務を定めた同条例7条の要件に該当しないとして,適法とされた事例
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