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行政事件 裁判例集

事件番号

 昭和53(行コ)4

事件名

 伊方発電所原子炉設置許可処分取消請求控訴事件

裁判年月日

 昭和59年12月14日

裁判所名

 高松高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前)23条に基づく原子炉設置の許可申請に対する内閣総理大臣の安全性を肯定する判断には,専門技術的裁量が認められるとした事例 2 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前)23条に基づいて内閣総理大臣のした原子炉設置許可処分の取消訴訟における原子炉施設の安全性に関する司法審査の範囲 3 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前。以下同じ。)23条に基づく原子炉設置の許可申請が同法24条1項3号中の技術的能力に係る要件及び同項4号の要件に適合するとして内閣総理大臣がした原子炉設置許可処分が,適法とされた事例 4 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前)23条に基づき内閣総理大臣がした原子炉設置許可処分につき,手続上の違法はないとした事例 5 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前)23条に基づいて内閣総理大臣のした原子炉設置許可処分につき,当核原子炉施設周辺に居住する住民は,原子炉事故が発生した場合には災害を被ることになるから,右処分の取消しを求める訴えの原告適格を有するとした事例 6 原子力委員会及び原子力安全委員会設置法(昭和53年法律第86号による改正前)14条の2によって設置されている原子炉安全専門審査会における原子炉の安全審査の対象は,主として当該原子炉の基本設計であり,その具体的審査の対象事項は,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前)23条2項,試験研究の用に供する原子炉等の設置,運転等に関する規則(昭和32年総理府令第83号。昭和53年同令第50号による改正前)1条の2の規定により定まるとした事例 7 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前)24条1項4号の意義 8 原子炉設置許可における安全審査についての核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律24条1項4号の規定が抽象的な基準を定めたにすぎないこと,同法及び原子力基本法が原子炉設置許可手続に周辺住民を関与させるべき規定を設けていないこと及び原子炉設置許可処分に際し,審査の基準となる告示等が法的根拠を欠くことのゆえに,前記各法が憲法31条に違反するとはいえないとした事例

裁判要旨

 2 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前)23条に基づいて内閣総理大臣のした原子炉設置許可処分の取消訴訟における原子炉施設の安全性に関する司法審査は,その安全性について裁判所が全面的,積極的に審理判断するのではなく,安全性を肯定する内閣総理大臣の判断に,現在の科学的見地からみて当該原子炉の安全性に本質的にかかわるような不合理があるか否かという限度で行うのが相当である。 7 核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前)24条1項4号は,抽象的,包括的な公益としての公共の安全だけでなく,直接災害を受ける危険性のある原子炉施設周辺の住民の災害防止に関する個別的利益をも保護している。

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