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行政事件 裁判例集

事件番号

 昭和52(行ウ)49

事件名

 慰霊祭支出差止請求事件

裁判年月日

 昭和58年3月1日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 地方自治法242条の2所定の住民訴訟の口頭弁論終結時以前において,当該地方公共団体の住民でなくなった者は,右訴訟の原告適格を有しないとした事例 
2 市長が,その委任により財務会計上の行為をする権限を有する下部職員を一般的に指揮,監督する権限を有するとしても,右指揮,監督権限の行使は,地方自治法242条所定の財務会計上の行為に当たらないとした事例 
3 市長が,戦没者遺族会主催の神式及び仏式による慰霊祭又はその準備のため,市の財産である会議室,事務用紙,マイクロバス等を提供したことが,違法な財産の管理に当たるとして,地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づき提起された同人に対する損害賠償請求が,右各財産の管理権は市規則により下部職員に委任されており,右市長にその管理権限はないとして,棄却された事例 
4 戦没者遣族会主催の神式及び仏式による慰霊祭の準備行為及び後片付け行為に従事した市職員に対する右各行為に要した時間相当分の給与の支払が,右各行為は公務として評価できるとして違法であるとはいえないとされた事例 
5 市長が,戦没者遺族会主催の神式及び仏式による慰霊祭に参列した市教員長に対し,右参列に要した時間相当分の給与を支払ったことが違法な公金の支出に当たるとして地方自治法242条の2第1項4号に基づき提起された市長に対する損害賠償請求が,右給与が過払であれば,市は右教育長に対して不当利得返環請求権を取得することになるから,右返環請求権が回収不能になる等の事情がない限り,市に損害が発生したとはいえないとして,棄却された事例 
6 戦没者遣族会主催の神式及び仏式による慰霊祭が憲法20条2項の宗教上の儀式であるとされた事例 
7 市教育長が戦没者遣族会主催の神式及び仏式による慰霊祭に参列して玉串奉奠及び祭壇前での焼香をしたことが憲法20条に違反し,右教育長が支払を受けた右行為に要した時間相当分の給与が不当利得に当たるとして,地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づき提起された同人に対する不当利得返還請求が,右教育長の行為は,憲法20条2項の解釈上私人の行為と評価するほかないから,政教分離の観点からその合憲性について判断するまでもなく,給与支払の対象となる公務の執行に当たるとする余地はないとして,認容された事例

裁判要旨

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