裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 昭和39(行ウ)93

事件名

 裁決取消請求事件

裁判年月日

 昭和44年6月26日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 審査請求人が審査庁に対し弁明書副本の送付を求めた場合には,同庁は処分庁に右弁明書の提出を求めるべき義務を生ずるか 2 審査庁が審査請求人から弁明書副本の送付の請求を受けながら,処分庁に対し弁明書の提出を求めず,ひいて審査請求人に対しその副本を送付しないまま,審査請求を棄却する旨の裁決をした場合において,その審査手続に存する行政不服審査法第22条違反の瑕疵が,裁決の取消事由に当たらないとされた事例 3 行政不服審査法第33条第2項前段にいう「処分庁から提出された書類その他の物件」の意義 4 国税局協議団の担当係官が処分庁におもむき所得調査書等を閲覧したうえ必要事項について作成したメモが行政不服審査法第33条第2項前段所定の閲覧請求権の対象となる書類に当たるとされた事例 5 国税局協議団の担当係官が処分庁におもむき所得調査書等を閲覧したうえ必要事項について作成したメモの閲覧請求を拒むにつき,行政不服審査法第33条第2項後段にいう「正当な理由があるとき」に当たらないとした事例 6 裁決書に,その理由として「収入金額については反面調査により判明したOO円を計上し,経費については提出の計算書に基づき同業者の経費等を比較検討して所得金額を算定した原処分は相当である。」と記載されている場合において,右裁決には理由不備の違法がないとした事例 7 行政不服審査法第33条第2項前段に基づく書類の閲覧請求を正当な理由もなく拒否した手続違背を理由に裁決を取り消した事例

裁判要旨

 1 行政不服審査法第22条第1項の規定は,審査請求人に対し処分庁の弁明書の弁明内容を知悉する機会を与えるという点にも意義があるから,審査請求人が弁明書の副本の送付方を請求した場合には,同人に対し処分庁の弁明内容を開示してその後の審理手続をより公正にするために,審査庁としては処分庁に対し弁明書の提出を求めた上その副本を審査請求人に送付すべきであり,この場合においては右弁明書の提出を求める義務を生ずるものと解すべきである。 3 行政不服審査法第33条第2項前段にいう「処分庁から提出された書類その他の物件」とは,当該処分の理由となった事実に対する処分庁の証拠資料で,審査庁に現に存在するもの(全部,一部もしくはその抜粋であるかを問わない。)をいうと解すべきであって,正式の提出手続を経て提出された書類その他の物件にかぎらないと解すべきである。

全文