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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ウ)7

事件名

 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日

 平成18年2月23日

裁判所名

 名古屋地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前)35条1項の居住用財産該当性の主張立証責任 2 譲渡した一団の不動産(土地及びその上の建物)の一部の建物(温室)が居住用財産に該当しないため,居住の用に供されていた住宅等とそれ以外の用に供されていた前記温室双方の建築面積によって譲渡所得を案分し,後者に対応する所得は租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前)35条1項所定の特別控除の適用の対象とならないとしてされた所得税の更正び過少申告加算税賦課決定が,適法とされた事例

裁判要旨

 1 租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前)35条1項所定の居住用財産の譲渡所得の特別控除は,個人が自ら居住の用に供している家屋及びその敷地等を譲渡するような場合には,これに代わる居住用財産を取得するのが通常であるなど,一般の資産の譲渡に比して特殊な事情があり,担税力も高くない事例が多いことを考慮して設けられた特例措置であること,居住用財産であるか否かは,通常,納税者において最も容易に立証できる事項であること,この適用を受けるためには,確定申告において,居住用財産であることを示す事情の記載等を要求する(同条2項)など,立法措置としては,納税者にその要件充足の事実を明らかにする負担を課そうとしていると考えられることなどを総合すると,前記特別控除を受ける要件としての居住用財産該当性の事実は,納税者の主張立証責任に属するのが相当であるところ,一団の土地上に,居住用家屋とそれ以外の建物とが混在し,この土地の具体的利用状況を明らかにすることができない場合には,全建物の建築面積に占める居住用家屋の建築建物の割合を判定し,この割合を譲渡所得に乗して算出した金額について,前記特別控除を適用するのが合理的であり,納税者は,居住用建物の建築面積さえ立証すれば,前記割合的判定による特別控除の適用を受けることができる反面,これを超えた範囲についても居住用家屋の敷地であることを主張しようとする場合には,その主張する範囲の土地が居住用建物の敷地として利用されていた具体的事情の立証責任を負担するのが相当である。 2 譲渡した一団の不動産(土地及びその上の建物)の一部の建物(温室)が居住用財産に該当しないため,居住の用に供されていた住宅等とそれ以外の用に供されていた前記温室双方の建築面積によって譲渡所得を案分し,後者に対応する所得は租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前)35条1項所定の特別控除の適用の対象とはならないとしてされた所得税の更正及び過少申告加算税賦課決定につき,譲渡した土地等が居住用家屋の敷地に該当するかどうかは,その具体的利用状況,土地に関する権利関係,当事者の認識等を総合して,社会通念に従い,当該土地等が当該家屋と一体として利用されている土地等であったかどうかにより判断するのが相当であるところ,前記判断によっても居住用家屋の敷地等の範囲が必ずしも容易に判断し得えない場合には,全建物の建築面積に占める居住用家屋の建築面積の割合を譲渡所得に乗じて算出した金額について,前記特別控除を適用するのが合理的であるとした上,前記土地の具体的利用状況は不明であるから,前記特別控除の適用については,居住の用に供されていた住宅等とそれ以外の用に供されていた前記温室の両者の建築面積によって譲渡所得を案分した上,前者に相当する譲渡所得のみから控除するのが相当であるとして,前記各処分を適法とした事例

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