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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ク)217

事件名

 執行停止申立事件

裁判年月日

 平成17年9月29日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 出入国管理及び難民認定法19条2項の資格外活動許可を受けずに就労したことが同法24条4号イに該当するとして退去強制令書発付処分を受けた中華人民共和国国籍を有する者がした,同処分の取消しを求める訴えを本案とする同処分の執行停止の申立てが,同令書に基づく収容部分の執行も含め,認容された事例

裁判要旨

 出入国管理及び難民認定法19条2項の資格外活動許可を受けずに就労したことが同法24条4号イに該当するとして退去強制令書発付処分を受けた中華人民共和国国籍を有する者がした,同処分の取消しを求める訴えを本案とする同処分の執行停止の申立てにつき,行政事件訴訟法25条2項にいう「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」とは,処分の執行等により維持される行政目的の達成の必要性を踏まえた処分の内容及び性質と,これを執行することによって申立人が被ることとなる損害の性質及び程度とを,損害の回復の困難の程度を考慮した上で比較衡量し,行政目的の達成を一時的に犠牲にしても申立人を救済しなければならない緊急の必要性の有無という観点から検討すべきであり,退去強制令書の執行による収容に伴い,被収容者が身体の自由を制限されることになるとしても,それが合理的な期間の範囲内にとどまり,かつ,具体的事案に応じた特段の事情のない限り,退去強制令書の収容部分の執行による行政目的の達成を一時的に犠牲にしても申立人を救済しなければならない緊急の必要性があるものとは認め難いとした上,前記退去強制令書の発付処分の目的である送還のための身柄確保や不法な在留活動の禁止という見地から,同人の身体の自由を制限する必要性は低いということができるのに対し,勉学を志して適法に本邦に入国し,「留学」の在留資格を得て,極めて計画的かつ意欲的に学業に励んでいた若年の同人にとって,収容が更に継続されることによって学業に支障を生ずることによる不利益は,回復が容易ではなくより重大なものということができるから,前記緊急の必要性があるということができ,また,行政事件訴訟法25条4項の「本案について理由がないとみえるとき」に該当するとは認められず,かつ同項の「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」に該当する事情もないとして,前記申立てを同令書に基づく収容部分の執行に対するものも含めて認容した事例

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