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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成15(行コ)7

事件名

 文書開示拒否処分取消請求控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成13年(行ウ)第3号)

裁判年月日

 平成17年10月27日

裁判所名

 仙台高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する資料に記録された情報のうち,(1)警察犬指導士の住所及び口座番号,(2)警察犬飼育者の住所,氏名,口座番号等,(3)警察犬の出動現場名等,(4)警察犬審査会審査員の氏名及び印影,(5)精神鑑定嘱託に関する精神鑑定医の住所,郵便番号及び債権者コード(電話番号),(6)部外講師謝金に関する部外講師の住所,電話番号,金融機関名,口座番号等,(7)犯罪捜査等に協力した功労により感謝状を贈呈された団体の代表者氏名,(8)暴力団排除運動及び捜査協力の功績により感謝状を授与された個人の住所,職名及び氏名,(9)交通安全運動等の功労として表彰を受けた個人,団体等の代表者の住所,(10)交通指導取締りに対する協力者の住所,氏名及び屋号,(11)質屋・古物商報償金に関する質屋等の住所及び年齢,(12)被疑者及び被害者の住所,氏名,年齢等,(13)死体解剖謝金に関する死者の氏名及び年齢,(14)犯罪捜査協力者の住所,氏名及び印影の各情報が,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号)8条2号に非開示事由として規定する「個人に関する情報」に該当するとされた事例 
2 県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する資料に記録された情報のうち,(1)警察犬指導士の氏名,(2)精神鑑定嘱託に関する精神鑑定医の病院名,氏名,印影及び口座番号,(3)質屋・古物商報償金に関する質屋等の氏名,印影及び屋号の各情報が,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号)8条2号に非開示事由として規定する「個人に関する情報」に該当しないとされた事例 
3 県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する資料に記録された情報のうち,(1)警部(同相当職)を除く警察職員の氏名,印影等,(2)質屋・古物商報償費に関する報償金受償者の住所,氏名,年齢,屋号,印影,事案の概要,協力の状況,受償行為に対する意見等,(3)死体解剖謝金に関する死体解剖医の所属,氏名,口座番号等,(4)警察犬指導士の住所,氏名等,(5)警察犬名,(6)警察犬飼育者の住所,氏名,金融機関名,口座番号等,(7)特定事件の被疑者に関する情報を提供して感謝状の贈呈を受けた団体名及び代表者名,(8)暴力団排除運動の推進に功績があって感謝状の贈呈を受けた団体名及び代表者名,(9)捜査支援資料を提供し,又は捜査活動に係る技術支援をした団体名及び代表者名,(10)精神鑑定嘱託に関して嘱託を受けた精神科医の病院名,住所,氏名,口座番号等,(11)犯罪捜査協力報償費に関する犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書,現金出納簿,捜査費支出伺,支払精算書,支払額内訳及び領収書の各情報が,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号)8条4号に非開示事由として規定する公共秩序維持情報に該当するとされた事例 
4 県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する資料に記録された情報のうち,資金前渡職員の普通預金通帳の口座番号及びお客様番号,警察犬審査会審査員の氏名及び印影の各情報が,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号)8条4号に非開示事由として規定する公共秩序維持情報に該当しないとされた事例

裁判要旨

 1 県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する資料に記録された情報のうち,(1)警察犬指導士の住所及び口座番号,(2)警察犬飼育者の住所,氏名,口座番号等,(3)警察犬の出動現場名等,(4)警察犬審査会審査員の氏名及び印影,(5)精神鑑定嘱託に関する精神鑑定医の住所,郵便番号及び債権者コード(電話番号),(6)部外講師謝金に関する部外講師の住所,電話番号,金融機関名,口座番号等,(7)犯罪捜査等に協力した功労により感謝状を贈呈された団体の代表者氏名,(8)暴力団排除運動及び捜査協力の功績により感謝状を授与された個人の住所,職名及び氏名,(9)交通安全運動等の功労として表彰を受けた個人,団体等の代表者の住所,(10)交通指導取締りに対する協力者の住所,氏名及び屋号,(11)質屋・古物商報償金に関する質屋等の住所及び年齢,(12)被疑者及び被害者の住所,氏名,年齢等,(13)死体解剖謝金に関する死者の氏名及び年齢,(14)犯罪捜査協力者の住所,氏名及び印影の各情報につき,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号)8条2号においては,「事業を営む個人の当該事業に関する情報」が除外されている以外には文言上何ら限定されていないことからすると,同条同号に非開示事由として規定する「個人に関する情報」は,個人に関わりのある情報であれば,原則として,すべてこれに当たると解するのが相当であるとした上で,上記の各情報は,同条例8条2号に非開示事由として規定する「個人に関する情報」に該当するとした事例 
2 県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する資料に記録された情報のうち,(1)警察犬指導士の氏名,(2)精神鑑定嘱託に関する精神鑑定医の病院名,氏名,印影及び口座番号,(3)質屋・古物商報償金に関する質屋等の氏名,印影及び屋号の各情報につき,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号)8条2号においては,「事業を営む当該事業に関する情報」が除外されている以外には文言上何ら限定されていないことからすると,同条同号に非開示事由として規定する「個人に関する情報」は,個人に関わりのある情報であれば,原則として,すべてこれに当たると解するのが相当であるとした上で,前記警察犬指導士の氏名については警察犬指導士は犬の訓練等を職業としていることから,精神鑑定医の病院名等については嘱託を受けて行う職務に関する情報であることから,質屋等の氏名等についてはその事業の一環として行うものと認めるべき盗品等の届出に関する情報であることから,いずれも,事業を営む個人の当該事業に関する情報に該当するとして,同条例8条2号に非開示事由として規定する「個人に関する情報」に該当しないとした事例 
3 県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する資料に記録された情報のうち,(1)警部(同相当職)を除く警察職員の氏名,印影等,(2)質屋・古物商報償費に関する報償金受償者の住所,氏名,年齢,屋号,印影,事案の概要,協力の状況,受償行為に対する意見等,(3)死体解剖謝金に関する死体解剖医の所属,氏名,口座番号等,(4)警察犬指導士の住所,氏名等,(5)警察犬名,(6)警察犬飼育者の住所,氏名,金融機関名,口座番号等,(7)特定事件の被疑者に関する情報を提供して感謝状の贈呈を受けた団体名及び代表者名,(8)暴力団排除運動の推進に功績があって感謝状の贈呈を受けた団体名及び代表者名,(9)捜査支援資料を提供し,又は捜査活動に係る技術支援をした団体名及び代表者名,(10)精神鑑定嘱託に関して嘱託を受けた精神科医の病院名,住所,氏名,口座番号等,(11)犯罪捜査協力報償費に関する犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書,現金出納簿,捜査費支出伺,支払精算書,支払額内訳及び領収書の各情報につき,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号)8条4号に非開示事由として規定する「公開することにより,犯罪の予防又は捜査,人の生命,身体又は財産の保護その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれのある情報」とは,社会通念に照らし,類型的にみてそのようなおそれがある情報といい得ることをもって足りるというべきであり,類型的にみてそのようなおそれがあるとはいい難いものについては,実施機関において「支障が生ずるおそれ」を個別的,具体的に立証する必要があるものと解するのが相当であるとした上で,前記の各情報を公開した場合,該当者の情報が犯罪の関係者等に知られ,攻撃や報復や嫌がらせを受けるおそれがあったり,捜査活動の妨害や証拠隠滅のおそれがあったりするとして,同条例8条4号に非開示事由として規定する公共秩序維持情報に該当するとした事例 
4 県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する資料に記録された情報のうち,資金前渡職員の普通預金通帳の口座番号及びお客様番号,警察犬審査会審査員の氏名及び印影の各情報につき,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号)8条4号に非開示事由として規定する「公開することにより,犯罪の予防又は捜査,人の生命,身体又は財産の保護その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれのある情報」とは,社会通念に照らし,類型的にみてそのようなおそれがある情報といい得ることをもって足りるというべきであり,類型的にみてそのようなおそれがあるとはいい難いものについては,実施機関において「支障が生ずるおそれ」を個別的,具体的に立証する必要があるものと解するのが相当であるとした上で,資金前渡職員の口座の情報については,当該口座から預金を不正に引き出すことはほとんど不可能であり,第三者から余分の振込があったとしてもそのことによって捜査活動等の警察業務が妨害されることは考えられないとして,警察犬審査会審査員の情報については,開示されたとしても,当該審査員は直接犯罪の捜査活動には従事しないので,攻撃や嫌がらせを受けるおそれがあるとは言い難いとして,いずれも,同条例8条4号に非開示事由として規定する公共秩序維持情報に該当しないとした事例 

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