裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成14(行ウ)161
- 事件名
退去強制令書発付処分取消等請求事件
- 裁判年月日
平成17年11月18日
- 裁判所名
大阪地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 中国国籍を有する夫と日本国籍を有する妻との間に中国で生まれた子らについて,戸籍法104条に基づく国籍留保の届出がされていなくても,前記夫及び妻の責めに帰すべき事由があるということはできないとして,前記子らの日本国籍が認められた事例 2 中国国籍を有し,日本国籍を有すると認められる者の夫であり,虚偽の身分関係を作出して「定住者」の在留資格を取得して本邦に不法に上陸したが,不法入国等の事実が発覚したとして,上陸許可を取り消された者が出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項に基づく異議申出をしたのに対し,入国管理局長がした当該異議は理由がない旨の裁決及び同裁決を前提としてされた退去強制令書の発付処分が,いずれも取り消された事例
- 裁判要旨
1 中国国籍を有する夫と日本国籍を有する妻との間に中国で生まれた子らについて,戸籍法104条に基づく国籍留保の届出がされていなくても,前記妻は,中国において中国国籍を有する者として扱われてきたものであり,前記妻の父親の戸籍の所在が明らかでなく,その所在を明らかにするには相当の困難を伴うものと考えられ,入国管理局長らが前記妻及びその父親の日本国籍の取得,保有を否定し,争っている状況にもかんがみると,就籍の届出も容易に行い得る状況にあるとはいえないから,国籍留保の届出がされていないことが前記夫及び妻の責めに帰すべき事由があるということはできないとして,前記子らの日本国籍が認められた事例 2 中国国籍を有し,日本国籍を有すると認められる者の夫であり,虚偽の身分関係を作出して「定住者」の在留資格を取得して本邦に不法に上陸したが,不法入国等の事実が発覚したとして,上陸許可を取り消された者が出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項に基づいてした異議申出に対する,入国管理局長がした当該異議は理由がない旨の裁決につき,法務大臣のする在留特別許可の判断が違法となるのは,全く事実の基礎を欠き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠く等により,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるような場合に限られるとした上,同裁決は,前記外国人が同法別表第2に掲げる在留資格「日本人の配偶者等」に該当し,同人の子が日本国籍を有することを全く考慮せずにされたものであり,同人に対し在留特別許可を付与するか否かを判断するに当たり重要な考慮要素となるべき事実の基礎を欠くものというほかはなく,前記入国の経緯をしんしゃくしてもなお,社会通念に照らし,著しく妥当性を欠くことが明らかであり,裁量権の範囲を超え,又はその濫用に当たるものとして違法であるとし,また,同裁決を前提としてされた退去強制令書の発付処分も違法であるとして,前記裁決及び退去強制令書の発付処分を取り消した事例
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