裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ク)277

事件名

 仮の義務付け

裁判年月日

 平成18年1月25日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 市福祉事務所長がした,気道を確保するため常時器具を装着し,たんの吸引等が必要な障害を有する幼児の,普通保育園への入園申込みを不承諾とする処分に対し,幼児の父親が提起した,不承諾とする処分の取消し及び普通保育園への入園を承諾するとの処分の義務付け等を求める訴えを本案とする,普通保育園への入園を仮に承諾することの仮の義務付けを求める申立てが,認容された事例

裁判要旨

 市福祉事務所長がした,気道を確保するため常時器具を装着し,たんの吸引等が必要な障害を有する幼児の,普通保育園への入園申込みを不承諾とする処分に対し,幼児の父親が提起した,不承諾とする処分の取消し及び普通保育園への入園を承諾するとの処分の義務付け等を求める訴えを本案とする,普通保育園への入園を仮に承諾することの仮の義務付けを求める申立てにつき,子供にとって,幼児期においてどのような環境においてどのような生活を送るかは重要な事柄であり,当該幼児が保育園に入園して保育を受ける機会を喪失するという損害は,その性質上,原状回復ないし金銭賠償による填補が不能な損害であるというべきであり,また,当該幼児は現に保育園に入園することができない状況に置かれているのであるから,損害の発生が切迫しており,社会通念上,これを避けなければならない緊急の必要性も肯定することができることから,償うことのできない損害を避けるために緊急の必要が認められるとした上で,当該幼児がたんの吸引等について格別の配慮を要するとしても,その程度に照らし,普通保育園に通う児童と,身体的,精神的状態及び発達の点で同視することができるものであって,普通保育園での保育が可能であると認めるべきであり,当該幼児の普通保育園での適切な保育が困難であって,児童福祉法24条1項ただし書にいう「やむを得ない事由」があるとした判断は,裁量の範囲を超え又はその濫用となるものというべきであるとして,前記申立てを認容した事例

全文