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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成14(行ウ)8等

事件名

 不当利得返還請求事件(甲事件),報酬支払差止事件(乙事件)

裁判年月日

 平成18年6月13日

裁判所名

 岡山地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 毎年多額の赤字を出していた市の病院事業の収支改善を図るため,市に依頼されて市の病院事業管理者に任命された者に対し,岡山市病院事業管理者の給与に関する条例附則に基づき病院事業会計の収支改善額に100分の20を乗じて得た額を加算して支給された期末手当の支払が,地方自治法204条,204条の2に反し,違法,無効であるとされた事例

裁判要旨

 毎年多額の赤字を出していた市の病院事業の収支改善を図るため,市に依頼されて市の病院事業管理者に任命された者に対し,岡山市病院事業管理者の給与に関する条例附則に基づき病院事業会計の収支改善額に100分の20を乗じて得た金額を加算して支給された期末手当の支払につき,地方自治法は,地方公共団体の条例による自主的決定の余地を専ら法定手当の種類からの選択と給与その他の給付の額,支給方法に限定しており,その限りで地方議会の裁量権を認めているものの,法定手当以外の手当を創設することについての裁量権は認めていないから,条例において,名目上,法定手当として支給することを定めた場合であっても,その金員が法定手当の性質を有しない場合には,地方自治法204条2項,204条の2に違反することになるが,同法204条2項の期末手当は,その沿革だけでなく現在の公務員の給与体系においても,勤務の状況に応じた増減を予定していない上,地方公務員の職務は,それ自体,直接又は間接的に住民の福祉の維持,増大に関わるものであり,そのような職務の性質上,地方公務員は,一定の結果を発生させるべき職責を負うものでないことなどからすれば,特別職の地方公務員である地方公営企業の管理者について,同項が期末手当その他の手当として成功報酬の支払を是認しているものとは解し難いところ,前記の期末手当に加算された金額は,給料月額あるいは勤務時間や勤務実態に基づいて算出されるものでなく,多大な精勤があっても収支改善額がなければ全く支給されない一方,精勤に値しない勤務実態であっても結果として収支改善額があれば支給されるものであって,決算上の収支改善結果そのものに対して支払われるものであるといえるから,その実質は,収支改善結果に対する成功報酬であると解され,期末手当等の手当にも,給料にも当たらないから,前記加算金の支払は地方自治法204条,204条の2に反し,違法,無効であるとした事例

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