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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成15(行ウ)11等

事件名

 原子爆弾被爆者認定申請却下処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成18年8月4日

裁判所名

 広島地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(一部の者につき平成11年法律第160号による改正前)11条1項に基づく原爆症認定の各申請に対し,厚生労働大臣(前記一部の者については厚生大臣(当時))が申請者の疾病等が放射線起因性がないとしてした,各申請を却下する旨の処分の取消請求が,いずれも認容された事例

裁判要旨

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(一部の者につき平成11年法律第160号による改正前)11条1項に基づく原爆症認定の各申請に対し,厚生労働大臣(前記一部の者については厚生大臣(当時))が申請者の疾病等が放射線起因性がないとしてした,各申請を却下する旨の処分の取消請求につき,疾病等についての放射線起因性の判断に当たっては,疾病・障害認定審査会が策定した「原爆症認定に関する審査の方針」を機械的に適用すべきではなく,あくまでこれを放射性起因性の一つの傾向を示す,過去の一時点における一応の参考資料として評価するのにとどめて,放射線被曝による人体への影響に関する統計学的,疫学的知見に加えて,臨床的,医学的知見をも踏まえつつ,それぞれの被爆状況,被爆後の行動,急性症状等やその後の生活状況,具体的症状や発症に至る経緯,健康診断や検診の結果等の全証拠を,経験則に照らして全体的,総合的に考慮したうえで,原爆放射線被曝の事実が当該疾病等の発生又は進行を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性が認められるか否かを,法的観点から,検討することとするのが相当であり,また,発熱,下痢,嘔吐,脱毛,皮膚・粘膜の出血等の症状の存在及びその程度は,放射線被爆の事実及びその程度を示す有力な徴ひょうとなり得るから,放射線起因性の判断要素とすべきであるとした上,各申請者の申請疾病である脳腫瘍,甲状腺がん,下咽頭腫瘍,肺がん,胃がん,直腸がん,肝臓がん,胆管がん,膀胱がん,乳がん,前立腺がん,皮膚がん等のがん及び白内障,C型肝炎,ケロイド,骨折,膵炎等について,被爆後に相当期間を経過した後に発生したものであっても,放射線起因性が認められるなどとして,前記各請求をいずれも認容した事例

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