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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行ウ)372

事件名

 住基ネット受信義務確認等請求事件

裁判年月日

 平成18年3月24日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 都の特別区が,都に対し,住民基本台帳ネットワークシステムの導入に当たり住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報(以下「本人確認情報」という。)を都へ通知することを受諾した者のみに係る本人確認情報を都に送信する場合に,都に同情報を受信する義務があることの確認を求めた訴えが,法律上の争訟に当たらず,不適法であるとされた事例 2 都の特別区が住民基本台帳ネットワークシステムの導入に当たり住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報(以下「本人確認情報」という。)を都へ通知することを受諾した者のみに係る本人確認情報を都に送信する場合に,都が同情報の受信義務を怠り,国が前記受信義務を履行しない都に対して適切な指導,監督等を行わなかったことが違法であるなどとして国家賠償を請求する訴えが,法律上の争訟に当たるとされた事例 3 都の特別区が住民台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)の導入に当たり住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報(以下「本人確認情報」という。)を都へ通知することを受諾した者(以下「通知希望者」という。)のみに係る本人確認情報を都に送信する場合に,都は同情報の受信義務を負っているにもかかわらずこれに応ぜず,国は前記受信義務を履行しない都に対して住民台帳基本法31条1項及び2項に基づき必要な協力をするよう適切な指導,監督等を行うべき立場にあったにもかかわらずこれを履行しなかったほか,通知希望者のみに係る本人確認情報の送信を前提とする他市の住基ネットの参加方式は違法である旨の誤った法解釈を都に対して示した行為はそれぞれ違法であるとして,都の特別区が都及び国に対して提起した各国家賠償請求が,それぞれ棄却された事例

裁判要旨

 1 都の特別区が,都に対し,住民基本台帳ネットワークシステムの導入に当たり住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報(以下「本人確認情報」という。)を都へ通知することを受諾した者のみに係る本人確認情報を都に送信する場合に,都に同情報を受信する義務があることの確認を求めた訴えにつき,前記訴えは,市町村が都道府県知事の行為が帰属する都道府県に対して住民基本台帳法に基づく市町村長の本人確認情報の送信に対応する都道府県知事の受信義務の確認を求めているものということができ,その実質において市町村長及び都道府県知事の住民基本台帳法に基づくそれぞれの権限の存否又は行使をめぐる訴訟であり,行政事件訴訟法6条にいう機関訴訟であるというべきであるから,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たらず,また,このような紛争の審判を裁判所の権限とする特別の定めも存しないとして,前記訴えを不適法とした事例 2 都の特別区が住民基本台帳ネットワークシステムの導入に当たり住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報(以下「本人確認情報」という。)を都へ通知することを受諾した者のみに係る本人確認情報を都に送信する場合に,都が同情報の受信義務を怠り,国が前記受信義務を履行しない都に対して適切な指導,監督等を行わなかったことが違法であるなどとして国家賠償を請求する訴えにつき,前記訴えは,損害賠償請求権の存否をめぐる紛争であって,原告が財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるものであり,自己の権利利益の保護救済を目的とするものであるから,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たるとした事例 3 都の特別区がいわゆる住民台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)の導入に当たり住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報(以下「本人確認情報」という。)を都へ通知することを受諾した者(以下「通知希望者」といい,これを受諾しなかった者を「非通知希望者」という。)に係る本人確認情報を都に送信する場合に,都は同情報の受信義務を負っているにもかかわらずこれに応ぜず,国は前記受信義務を履行しない都に対して住民台帳基本法31条1項及び2項に基づき必要な協力をするよう適切な指導,監督等を行うべき立場にあったにもかかわらずこれを履行しなかったほか,通知希望者のみに係る本人確認情報の送信を前提とする他市によって採られている住基ネットの参加方式は違法である旨の誤った法解釈を都に対して示した行為はそれぞれ違法であるとして,都の特別区が都及び国に対して提起した各国家賠償請求につき,都の特別区が都に対し通知希望者のみに係る本人確認情報の送信を行い,非通知希望者に係る本人確認情報の送信を行わないとする扱いは,住民基本台帳法30条の5第1項及び第2項に違反し許容されない以上,都には都の特別区が送信する通知希望者のみに係る本人確認情報を受信すべき義務は存せず,通知希望者のみに係る本人確認情報の送信を前提とする他市の住基ネットの参加方式は違法というべきであるから,都及び国の前記各行為には何ら違法性はないとして,前記国家賠償請求をそれぞれ棄却した事例

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