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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行コ)12

事件名

 還付加算金等請求控訴事件(原審・松山地方裁判所 平成16年・第17号)

裁判年月日

 平成18年3月10日

裁判所名

 高松高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 税務署長から法人税額等の決定及び加算税の賦課決定をされたことから,法人市民税の確定申告書を提出し,同税及び延滞金を納付した法人がその後前記各決定を取り消す旨の国税不服審判所長の裁決があったことにより還付を受けた過納金が,地方税法17条の4第1項1号の「更正,決定若しくは賦課決定」により納付すべき額が確定した地方団体の徴収金に係るものでないとされた事例 2 税務署長から法人税額等の決定及び加算税の賦課決定をされたことから,法人市民税の確定申告書を提出し,同税及び延滞金を納付した法人がその後前記各決定を取り消す旨の国税不服審判所長の裁決があったことにより還付を受けた過納金が,地方税法17条の4第1項1号の「第321条の8第28項の規定による申告書」の提出により納付すべき額が確定した地方団体の徴収金に該当するとされた事例

裁判要旨

 1 税務署長から法人税額等の決定及び加算税の賦課決定をされたことから,法人市民税の確定申告書を提出し,同税及び延滞金を納付した法人がその後前記各決定を取り消す旨の国税不服審判所長の裁決があったことにより還付を受けた過納金が,地方税法17条の4第1項1号の「更正,決定若しくは賦課決定」により納付すべき額が確定した地方団体の徴収金に係るものであるかにつき,同号は,国の税務官署が行う「更正,決定」と地方団体が行う「更正,決定」とで表現を明確に区別し,単に「更正,決定若しくは賦課決定」というときは,地方団体の機関が行うものと解するのが自然であり,昭和50年法律第18号による改正により同号に法人税の更正,決定を受けたこと等に基づく同法321条の8第28項の規定による申告書の提出による場合が追加されたのは,同項に基づく義務的修正申告を履行した場合には同法17条の4第1項4号が適用されてほとんど還付加算金が加算されないのに対し,それを怠り増額更正を受け,その後減額更正を受けたような場合には同項1号が適用されて納付日にさかのぼって還付加算金が加算されるのは,同法が修正申告を義務化,推奨していることと相矛盾することから,そのような不均衡を是正する趣旨であり,法人税の更正又は決定が同号の「更正,決定」に当たらないからこそ行われた改正であることから,同号にいう「更正,決定若しくは賦課決定」とは,地方団体が行ったものに限られるとした上,前記法人市民税が確定したのは前記法人が確定申告書を提出したことによるのであり,地方団体が行った「更正,決定若しくは賦課決定」によるのではないから,前記過納金は,同号の「更正,決定若しくは賦課決定」により納付すべき額が確定した地方団体の徴収金に係るものではないとした事例 2 税務署長から法人税額等の決定及び加算税の賦課決定をされたことから,法人市民税の確定申告書を提出し,同税及び延滞金を納付した法人がその後前記各決定を取り消す旨の国税不服審判所長の裁決があったことにより還付を受けた過納金が地方税法17条の4第1項1号の「第321条の8第28項の規定による申告書」の提出により納付すべき額が確定した地方団体の徴収金に該当するかにつき,地方税法17条の4第1項1号は「第321条の8第28項の規定による申告書」とのみ規定し,修正申告書に限定しておらず,同法321条の8第28項自体には修正申告の場合のみが規定されていると限定する根拠は乏しいこと,同法321条の8第27項2号には同項1号と異なり「提出により」との文言がないこと,同項は同法321条の11の規定による更正若しくは決定を受けた法人にも適用され,決定を受けた法人の場合には先行する申告がないことが前提となっていることからすれば,同法321条の8第27項は,先行する申告がない場合にも適用されるというべきであり,当初の確定申告がされていない場合についても,当初,納付すべき税額がないものとする旨の税額確定行為があった場合と同視し,同号の「先の申告書に納付すべき市町村民税額を記載しなかった場合」に含まれると解するのが相当であるから,前記過納金は,地方税法17条の4第1項1号の「第321条の8第28項の規定による申告書」の提出により納付すべき額が確定した地方団体の徴収金に該当するとした事例

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