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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ク)24

事件名

 仮の差止め申立て事件

裁判年月日

 平成18年5月22日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 行政事件訴訟法37条の4第1項にいう「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合」の意義 
2 健康保険法に基づき保険医の登録を受けている歯科医師である申立人がした保険医登録取消処分の仮の差止めの申立てが,その本案の差止めの訴えが不適法な訴えであって,本案訴訟としての適法な差止めの訴えの提起を欠くとして,不適法とされた事例

裁判要旨

 1 行政事件訴訟法37条の4第1項にいう「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合」とは,それを避けるために事前救済としての当該処分又は裁決をしてはならないことを命ずる方法による救済が必要な損害を生ずるおそれがある場合をいうものと解されるのであって,一定の処分又は裁決がされることにより損害を生ずるおそれがある場合であっても,当該損害がその処分又は裁決の取消しの訴えを提起して同法25条2項に基づく執行停止を受けることにより避けることができるような性質,程度のものであるときは,同法37条の4第1項にいう一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合には該当しない。 
2 健康保険法に基づき保険医の登録を受けている歯科医師である申立人がした保険医登録取消処分の仮の差止めの申立てにつき,同処分がされることにより申立人に生じる損害が,歯科医業による収入の減少ないし喪失という財産上のものであることにもかんがみると,当該損害は,前記登録取消処分の取消しの訴えを提起して同法25条2項に基づく執行停止を受けることにより避けることができるような性質,程度のものであるといわざるを得ないから,その本案事件は,同法37条の4第1項にいう「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合」の要件を欠く不適法な訴えであって,本案訴訟としての適法な差止めの訴えの提起を欠くとして,前記申立てを不適法とした事例

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