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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行コ)307

事件名

 障害基礎年金不支給決定取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成13年(行ウ)第201号

裁判年月日

 平成18年10月26日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 国民年金法30条の4第1項に規定する「初診日」の意義 
2 平成元年法律第86号による改正前の国民年金法により学生の国民年金への加入が任意とされていた当時,大学在学中に総合失調症の診断を受けたが,初診日において20歳以上の学生であって国民年金に任意加入していなかったため,障害基礎年金の不支給の処分を受けた者がした同処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 国民年金法30条1項及び同法30条の4第1項が,傷病の発生日ではなく,その初診日において所定の要件を満たす者に対して障害基礎年金を支給する要件としている趣旨は,国民年金の保険者が傷病の発生時期の認定をすることができるだけの資料を有しないことにかんがみ,医学的見地から前記認定の客観性,公平性を確保するために受診の事実をもって適用の範囲を画することとするにあると解するのが相当であり,同法30条1項及び同法30条の4第1項の文言及び前記趣旨によれば,同項にいう「初診日」とは,傷病の発生日ではなく,傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日を意味するものと解するのが相当である。 
2 平成元年法律第86号による改正前の国民年金法により学生の国民年金への加入が任意とされていた当時,大学在学中に総合失調症の診断を受けたが,初診日において20歳以上の学生であって国民年金に任意加入していなかったため,障害基礎年金の不支給の処分を受けた者がした同処分の取消請求につき,国民年金法30条1項及び同法30条の4第1項にいう「初診日」とは,傷病の発生日ではなく,前記定義規定どおり,傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日を意味するものと解するのが相当であるとした上,前記の者は20歳に達する前に統合失調症で医師の診療を受けたことを認めるに足りず,同法30条の4第1項所定の要件を満たすものということはできないとして,前記請求を棄却した事例

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