裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成17(行ウ)510
- 事件名
保育園入園承諾義務付等請求事件
- 裁判年月日
平成18年10月25日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
こう頭軟化症等のため気管切開手術を受けてカニューレ(のどに開けた穴に常時装着して気管への空気の通り道を確保する器具)を装着している児童の保護者がした保育園への入園申込みに対して市福祉事務所長がした保育園入園を承諾しない旨の処分の取消し及び保育園入園の承諾の義務付けの各請求が,いずれも認容された事例
- 裁判要旨
こう頭軟化症等のため気管切開手術を受けてカニューレ(のどに開けた穴に常時装着して気管への空気の通り道を確保する器具)を装着している児童の保護者がした保育園への入園申込みに対して市福祉事務所長がした保育園入園を承諾しない旨の処分の取消し及び保育園入園の承諾の義務付けの各請求につき,児童福祉法24条1項に基づいて,児童の保護者から申込みがあったときは,市町村は,当該児童が障害者であるからといって一律に保育所における保育を認めないことは許されず,障害の程度を考慮し,当該児童が,保育所に通う障害のない児童と身体的,精神的状態及び発達の点で同視することができ,保育所での保育が可能な場合には,保育所での保育を実施すべきであり,そのような場合であるにもかかわらず,市福祉事務所長が,児童福祉法24条1項ただし書にいう「やむを得ない事由」があるとして保育所における保育を承諾しなかった場合には,当該不承諾処分は,考慮すべき事項を適切に考慮しなかったという点において,裁量の範囲を超え,又は裁量権を濫用したものというべきであって,違法であると解するのが相当であるとした上,前記不承諾処分の当時,前記児童については,保育所に通う障害のない児童と,身体的,精神的状態及び発達の点で同視することができるものであって,保育所での保育が可能であったと認められるから,前記不承諾処分は違法であり,かつ,いずれかの保育園への入園を承諾しないことは,裁量権の範囲を超え,又はその濫用となるとして,前記各請求をいずれも認容した事例
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