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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行コ)39

事件名

 支出差止等(原審 名古屋地方裁判所平成15年(行ウ)第43号)

裁判年月日

 平成18年4月19日

裁判所名

 名古屋高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムと憲法13条 
2 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムが,プライバシーを侵害するものとして憲法13条に違反し,個人情報の漏えいの危険性がある点で住民基本台帳法36条の2等に反するとして,地方自治法242条の2第1項1号及び4号に基づき,市長に対してされた,住民基本台帳カードの交付に関して公金を支出することの差止め及び支出した公金相当額の損害賠償を市長個人に対して請求するよう求める各請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

 1 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムによって都道府県知事及び指定情報処理機関が取得し,国,行政機関,都道府県及び市町村に提供する個人情報は,氏名,生年月日,性別,住所に11けたの数字からなる住民票コードを加えた本人確認情報に限られるところ,国及び地方公共団体による本人確認情報の利用目的は正当なものであって,その取得の態様は社会通念上相当であると認めることができ,また,前記システムの対象となる情報は原則として個人の人格的自律に直接関わらない客観的,外形的事項に関するものにとどまり,かつ,これを提供,利用できる事務は法定されて,それ以外の提供,利用が禁止されている上,国や地方公共団体は,同法の規定する事務の遂行のため必要がある場合を除いては,何人に対しても,住民票コードを告知することを求めてはならないとされていることなどに照らせば,住民票コードを前提とする前記システム本体に関する規定及びこれと不可分一体の住民基本カードに関する規定は憲法13条に違反しない。 
2 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムが,プライバシーを侵害するものとして憲法13条に違反し,個人情報の漏えいの危険性がある点で住民基本台帳法36条の2及び住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成11年法律第133号)附則1条2項の趣旨に反するとして,地方自治法242条の2第1項1号及び4号に基づき,市長に対してされた,住民基本台帳カードの交付に関して公金を支出することの差止め及び支出した公金相当額の損害賠償を市長個人に対して請求するよう求める各請求につき,同システムは,その利用目的が正当であり,同システム及び個人情報が記録された住民基本カードには,個人情報の漏えいを防ぐための対策が十分に施されていて,その危険性が高いとはいえないから,憲法13条及び前記法令に違反することはないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例

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