裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成17(行ウ)4
- 事件名
行政処分取消請求事件
- 裁判年月日
平成18年6月20日
- 裁判所名
千葉地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
他の県の知事から,同県の区域における産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消された会社が,この事実が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成17年法律第42号による改正前)14条の3の2第1項1号,14条5項2号イ,7条5項4号ニに当たるとして,県知事が行い,中核市移行に伴い市長が行ったとみなされた同市の区域に係る産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消す旨の処分の取消請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
他の県の知事から,同県の区域における産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消された会社が,この事実が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成17年法律第42号による改正前。以下「法」という。)14条の3の2第1項1号,14条5項2号イ,7条5項4号ニに当たるとして,県知事が行い,中核市移行に伴い市長が行ったとみなされた同市の区域に係る産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消す旨の処分の取消請求につき,他の県でされた前記取消処分は,前記会社の取締役が,禁錮以上の刑に処せられ,その有罪判決の確定後も取締役として会社に在籍していたことが,法14条5項2号ニ,7条5項4号ロの許可の欠格要件に該当することを理由としてされたものであるところ,前記規定が,法人でその役員のうちに禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者のあるものを法人の産業廃棄物収集運搬業の許可の欠格要件として定めているのは,法人の業務執行に責任を持つべき役員に上記事由がある場合を法人自体の欠格要件とすることによって,人の信頼を裏切る行為を行うおそれのある者を確実にその業の実質的な運営から排除して,産業廃棄物収集運搬業者の一層の資質の向上と信頼性の確保を図ったものと解されること,前記各規定には,許可の欠格要件となる役員の確定有罪判決について,その対象となる犯罪行為を法人の業務に関係する場合に限定する旨の文言はないこと,さらに,法14条の3の2第1項は,平成15年法律第93号により加えられた規定であるところ,従前は欠格要件に該当するに至った場合であっても許可を取り消すかどうかは都道府県知事の裁量にゆだねられていたのを,欠格要件に該当するに至った場合には許可を取り消さなければならないとしていることなどから,法は,法人の業務遂行における役員の責任の重要性を考慮して,法人の役員が禁錮以上の刑に処せられた場合を,対象となる犯罪行為を限定することなく,当該法人の許可の欠格要件と定め,事後的にこれに該当するに至った場合には必ずその許可を取り消すものとして,適正な業の遂行や廃棄物の適正な処理体制の確保を図ろうとしたものであるといえ,このように産業廃棄物収集運搬業の遂行に責任を有する者に厳格な法令遵守を要求し,遵法精神に欠ける者を役員とする法人を確実に排除することも,廃棄物の適正な処理体制を確立するための規制として必要性及び合理性を肯定することができ,他の県でされた前記取消処分に重大かつ明白な違法はなく,これが無効であるとはいえず,同取消処分を受けた事実自体が法所定の取消要件に当たるとしてされた市長の取消処分に違法はないとして,前記請求を棄却した事例
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