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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行ウ)75

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成18年8月23日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 10年以上勤続して退職した職員について一律に退職時に特別昇給を行ったことが職員の給与に関する条例(昭和31年大阪市条例第29号,平成17年大阪市条例第20号による改正前)に違反し違法であり,市は前記特別昇給に基づいて支出された退職手当増加分相当額の損害を被ったとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長に対し,市長個人に対し損害賠償請求をするよう求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 10年以上勤続して退職した職員について一律に退職時に特別昇給を行ったことが職員の給与に関する条例(昭和31年大阪市条例第29号,平成17年大阪市条例第20号による改正前)に違反し違法であり,市は前記特別昇給に基づいて支出された退職手当増加分相当額の損害を被ったとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長に対し,前記損害のうち,監査委員の勧告を受けて第三者弁済により補填された20年以上勤続に満たない者,勤続期間中に懲戒処分を受けた者及び勤怠不良で退職手当の減額措置を受けた者に対する支出に係る部分を除く部分について,市長個人に対し損害賠償請求をするよう求める請求につき,前記条例5条6項が特別昇給の要件と規定する「市長が特に必要と認めた場合」については,その判断を広く市長の裁量にゆだねる趣旨のものではなく,普通昇給の要件として規定されている職員の勤務成績が良好であることを前提に,国及び地方公共団体の事情等をしんしゃくして,「職員の勤務成績が特に優秀である場合」に準じる事由をその裁量により認定して特別昇給を行うことができるものとする趣旨の規定であると解されるが,国において,人事院規則又はその前身である人事院細則の規定に基づき,20年以上勤続して退職する職員を勤務成績の特に良好な職員と推定し,一般職の職員の給与に関する法律が特別昇給の要件として規定する「職員の勤務成績が特に良好である場合」に該当するものとして,特別昇給させる運用が,同人事院細則が適用されて以来50年余の長期間にわたり行われてきたところ,20年以上勤続して退職する職員につき,勤続中の勤怠が不良であるなど20年以上勤続したにもかかわらず勤務成績が特に良好であると評価することを相当としない特段の事由が認められない限り,前記運用のとおり特別昇給させることは,同法の特別昇給に関する規定や国家公務員法72条の規定の趣旨に反するものではなく,このような事情は,地方公務員である一般職の職員にも当てはまるから,前記市において20年以上勤続して退職する職員について,勤務成績が特に優秀であると推定し,前記特段の事情が認められない限り,前記条例5条6号の要件に該当するものとして特別昇給を行ったことは,地方公務員法40条の規定の趣旨に反するものではなく,市長に付与された裁量権の範囲を逸脱するものではないとして,前記請求を棄却した事例

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