裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成16(行ウ)1
- 事件名
違法公金支出返還請求事件
- 裁判年月日
平成18年7月27日
- 裁判所名
仙台地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
地方公共団体が運営する公立病院が財団法人に対してした寄附は,実質的には,国立大学医学部に属する医局等に対する寄附であり,地方財政再建促進特別措置法(平成14年法律第98号による改正前)24条2項に反して違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長に対してされた,国立大学法人法等に基づき前記大学が行う業務に関する権利義務を承継した国立大学法人に対して不当利得返還の請求をすることを求める請求が,認容された事例
- 裁判要旨
地方公共団体が運営する公立病院が財団法人に対してした寄附は,実質的には,国立大学医学部に属する医局等に対する寄附であり,地方財政再建促進特別措置法(平成14年法律第98号による改正前)24条2項に反して違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長に対してされた,国立大学法人法等に基づき前記大学が行う業務に関する権利義務を承継した国立大学法人に対して不当利得返還の請求をすることを求める請求につき,地方財政再建促進特別措置法(前記改正前)24条2項は,国等と地方公共団体との間の経費負担をも原則禁止とすることによって財政の健全化を図る一方,寄附等を一律禁止することによる公益上又は社会通念上の不合理を回避するために一定の場合には事前に総務大臣の同意を得た上で寄附等をなし得るものとしたものと解されることからすれば,同項は,地方公共団体が行う寄附金等の支出について,地方自治法の規定に優先して適用され,また,同項ただし書に当たる場合を除き,すべてこれを禁止したものであると解されるから,本来自己の経費とすべき金員について地方公共団体の負担とするような国と地方の財政区分を混乱させるようなものについて適用があると解されるところ,前記寄附は,公立病院と国立大学との間で生ずる同項の公金支出の制限の問題を回避するため,前記財団法人を寄附の受入先に指定して,同財団法人から前記国立大学医学部に属する医局,研究者個人又は研究者グループに交付させる形式をとって,地方公共団体が運営する公立病院から前記医局等に対して行われたものであり,国に対する寄附金と区別することは困難であり,国と地方の財政区分を混乱させるものであるといえるから,同項が禁止している地方公共団体から国に対する寄附金の支出と評価すべきものであって,同項に反する違法な寄附であるとして,前記請求を認容した事例
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