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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ウ)170

事件名

 不開示決定処分取消請求事件

裁判年月日

 平成18年9月8日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律13条1項に基づく社会保険庁の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示請求に対し,社会保険庁長官がした全部を開示しない旨の決定の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律13条1項に基づく社会保険庁の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示請求に対し,社会保険庁長官がした全部を開示しない旨の決定の取消請求につき,同法が13条1項2号において,開示請求者に対し,開示請求書に開示請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項を記載することを義務付けた趣旨は,開示請求の対象が検索の比較的容易な電子計算機処理に係る個人情報に限らず広く行政文書に記録されている個人情報とされたことにかんがみ,当該行政機関の職員において,開示請求に係る保有個人情報を検索し,抽出された保有個人情報について当該行政機関の長が同法14条所定の不開示情報が含まれているか否かを判断して,所定の期限内に開示決定等を行うことができるための不可欠の前提として一の開示請求において開示を請求することができる保有個人情報を開示請求者を本人とする保有個人情報のうちの一定範囲のものに限定することにあるものと解され,開示請求者を本人とする保有個人情報のすべての開示を求めるような包括的な開示請求は,同法の容認しないものと解すべきであり,また,同法13条1項2号にいう保有個人情報を特定するに足りる事項の記載については,少なくとも,開示請求に係る保有個人情報が記録されている行政文書の範囲を具体的に特定するに足りるものでなければならないと解するのが相当であるとした上で,前記開示請求に係る開示請求書には,「私の個人情報昭和34年3月から現在までの厚生年金保険,厚生障害年金保険の資料全部」などと記載され,基礎年金番号等の数字が記載されているが,上記記載からは,開示の対象となる情報が記録されている行政文書の範囲を具体的に特定することはできず,開示を請求する保有個人情報を特定するに足りる事項の記載があったということはできないから,前記決定は適法であるとして,前記取消請求を棄却した事例

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