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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行コ)3

事件名

 公金支出差止等請求控訴事件(原審・岐阜地方裁判所平成11年(行ウ)第4号)

裁判年月日

 平成18年8月31日

裁判所名

 名古屋高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 ダム建設に関する建設事業負担金について,県知事がした費用負担の同意及び同負担金の支出は違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県知事個人に対してされた支出合計額相当の損害賠償を求める訴えが,監査請求期間徒過につき正当な理由がないとして,一部却下された事例 2 ダム建設に関する建設事業費負担金について,県知事が水資源開発公団との間でした費用負担の同意及び同負担金の支出は違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づき,県知事に対してされた将来分の同支出命令差止請求及び県出納長に対してされた支出差止請求並びに同項4号に基づき,県知事個人に対してされた支出合計額相当の損害賠償請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

 1 ダム建設に関する建設事業負担金について,県知事がした費用負担の同意及び同負担金の支出は違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県知事個人に対してされた支出合計額相当の損害賠償を求める訴えにつき,前記負担金の支出については県議会で審議,議決の手続が履践されるなど,通常の手続を経て行われたものであり,前記負担金の予算,予算明細説明書及び決算書等の書類は,その性質上,県の住民がこれを入手し閲覧することが可能であると解されるから,監査請求期間を徒過したことについて同法242条2項ただし書所定の正当な理由がないとして,前記訴えのうち,前記負担金の支出から1年を経過した後に住民監査請求した部分を却下した事例 2 ダム建設に関する建設事業費負担金について,県知事が水資源開発公団との間でした費用負担の同意及び同負担金の支出は違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づき,県知事に対してされた将来分の同支出命令差止請求及び県出納長に対してされた支出差止請求並びに同項4号に基づき,県知事個人に対してされた支出合計額相当の損害賠償請求につき,前記費用負担の同意は,具体的な負担額が決定しているわけではないことなどからすれば,地方自治法242条1項にいう「義務の負担」には該当せず,財務会計行為には当たらないというべきであり,前記負担金の支出が財務会計法規上の注意義務に違反して違法であるといい得るのは,前記公団から県に対してされる賦課行為である納付通知自体につき,著しく合理性を欠き,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない重大かつ明白な瑕疵が存在する場合に限られるところ,合理性の認められる長期需要計画に基づき,県工業用水に前記ダムを必要とする新規水需要があるとの前提でされた前記費用負担同意が違法,無効であるとは認められず,前記公団のした納付通知は適法であり,前記費用負担同意が違法,無効であることを理由に前記負担金の支出が違法となるとはいえないなどとして,前記各請求をいずれも棄却した事例

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