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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)63

事件名

 在留資格認定証明書交付申請不交付処分取消請求事件

裁判年月日

 平成18年9月15日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 出入国管理及び難民認定法7条の2第1項に基づく在留資格を「定住者」とする在留資格認定証明書交付申請の代理人であり,前記処分の対象者の配偶者であって,「定住者」の在留資格を有する外国人が,前記申請に対し,これを不交付とする旨の処分の取消しを求める訴えについて,原告適格を有しないとされた事例 
2 出入国管理及び難民認定法5条1項4号本文にいう「刑に処せられた」の意義 
3 執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過した者がした出入国管理及び難民認定法7条の2第1項に基づく在留資格を「定住者」とする在留資格認定証明書交付申請に対し,同法5条1項に定める上陸拒否事由に該当するとしてこれを不交付とした処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 1 出入国管理及び難民認定法7条の2第1項に基づく在留資格を「定住者」とする在留資格認定証明書交付申請の代理人であり,前記処分の対象者の配偶者であって,「定住者」の在留資格を有する外国人が,前記申請に対し,これを不交付とする旨の処分の取消しを求める訴えについて,原告適格を有するかにつき,同法(平成18年法律第43号による改正前)7条1項2号の定める各要件は,外国人の入国及び在留が,真実,在留資格を認め得る所定の活動をするためのものか否かを判断するとともに,この申請をした外国人の法的地位をあらかじめ明らかにする目的のために設けられた要件と解されることからすると,同号が,代理人が処分によって受ける利害についても考慮の対象としていると解することはできず,また,同法7条の2第2項及び同法施行規則6条の2第3項が代理人の範囲をその外国人を受け入れようとする機関の職員等一定の者に限定しているのも,本邦にいない外国人に便宜を図る趣旨と手続を適正に行う要請を考慮して,代理人となり得る者の範囲を定めたものと解され,その代理人が受ける利益をその代理人の個有の利益として保護しようとしていると認められず,さらに,同法(前記改正前)2条の2所定の「家族滞在」,「定住者」といった在留資格は,外国人の身分又は地位に応じて,在留中に日本で行うことができる活動及び在留期間をあらかじめ定めておくために設けられた資格の分類にすぎないから,当該規定が当該処分の対象者の配偶者の権利又は利益を保護すべきであるとする趣旨を含むと解することはできないなどとして,前記の者は原告適格を有さないとした事例 
2 出入国及び難民認定法5条1項4号本文が一定の刑に処せられたことがあることを上陸拒否事由としているのは,過去に有罪の確定判決を受けて一定の刑に処せられたことがあるという事実は,その者の反社会性を表すものであり,そのような者は自国にとって好ましくない者として一律に上陸を拒否すべきであるとの考えに基づくものであると解するのが相当であるから,同号本文にいう「刑に処せられた」とは,歴史的事実として刑に処せられたことを意味するのであって,刑の執行猶予の言渡しを受けたかどうか,執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過して刑の言渡しが効力を失ったかどうかといったことを問わない。 
3 執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過した者がした出入国管理及び難民認定法7条の2第1項に基づく在留資格を「定住者」とする在留資格認定証明書交付申請に対し,同法5条1項に定める上陸拒否事由に該当するとしてこれを不交付とした処分につき,前記の者は,執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過していたとしても,同項4号所定の日本国の法令に違反して1年以上の懲役に処せられたことのある者に該当するというべきであり,また,本邦に上陸しようとする外国人が同法(平成18年法律第43号による改正前)7条1項4号,同法5条1項4号に該当することが明らかである場合には,在留資格認定証明書を交付しないこととする取扱いには合理性があると認められ,さらに,在留資格認定証明書が交付されないからといって,それによって直ちに前記の者が上陸審査手続を受ける機会を奪われるわけではないから,前記処分が裁量権の範囲を逸脱したものということはできないなどとして,前記処分を適法とした事例

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