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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)2

事件名

 漁業不許可処分等取消,損害賠償請求各控訴事件(原審・徳島地方裁判所 平成16年(行ウ)第19号(A事件),同年(ワ)第350号(B事件))

裁判年月日

 平成18年8月29日

裁判所名

 高松高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 県知事から小型機船底びき網漁業の許可を受けていた者から船舶等を譲り受けた者に対し県知事がした,前記漁業の承継不許可処分及び起業不認可処分が違法であるとして,農林水産大臣に対する審査請求を経ないで提起された,前記各処分の取消しを求める訴えが,いずれも却下された事例

裁判要旨

 県知事から小型機船底びき網漁業の許可を受けていた者から船舶等を譲り受けた者に対し県知事がした,前記漁業の承継不許可処分及び起業不認可処分が違法であるとして,農林水産大臣に対する審査請求を経ないで提起された,前記各処分の取消しを求める訴えにつき,申請者は前記各処分の約5年前にも同様の承継許可申請について不許可処分を受け(以下「先行不許可処分」という。),農林水産大臣に対して審査請求をしたところ,同審査請求が長期間放置されたという経緯が存することなどから,申請者において,審査請求の手続を経ていたのでは,先行不許可処分に係る取消訴訟のときと同様に,許可の有効期間を経過してしまう可能性が高いと判断したとしても,前記承継不許可処分の処分理由は先行不許可処分の処分理由と同じものとはいえないのであるから,申請者が裁決を経ないで前記承継不許可処分の取消しの訴えを提起したことについて,行政事件訴訟法8条2項3号の「正当な理由がある」とは認められず,また,起業の認可と承継許可とは別個の処分である上,起業認可の申請は,新たに漁業の許可を受けようとする者が許可申請の前提として行うものであって,申請に対する県知事の審査,判断における考慮要素等の点で承継許可申請とは同一に論じられないところであって,先行不許可処分に対する審査請求が長期間放置されたという経緯が存することや,起業許可申請に係る漁業の許可の有効期間が最長で3年間に限られていることから,申請者において,審査請求の手続を経ていたのでは,先行不許可処分に係る取消訴訟のときと同様に,許可の有効期間を経過してしまう可能性が高いと判断したとしても,申請者が,前記起業不認可処分に対する審査請求を行うことなく,裁決を経ないでその取消しを求める訴えを提起したことについては,行政事件訴訟法8条2項3号の「正当な理由がある」とは認められないとして,前記訴えをいずれも却下した事例

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