裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成18(行ケ)3
- 事件名
選挙の効力に関する裁決取消請求事件
- 裁判年月日
平成18年10月12日
- 裁判所名
名古屋高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市選挙管理委員会が,市議会議員補欠選挙において,告示の日前10日以内の辞職によって生じた欠員については補欠選挙により選挙すべき議員の数に含まれないと判断し,これを公表周知させたことは,同選挙において選挙すべき議員の数を誤ったものであるとされた事例
2 市議会議員補欠選挙には選挙の規定に違反し,かつ,選挙の結果に異動を及ぼす虞があるとして,県選挙管理委員会がした当該選挙を無効とするとの裁決の取消請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 市選挙管理委員会が,市議会議員補欠選挙において,告示の日前10日以内の辞職によって生じた欠員については補欠選挙により選挙すべき議員の数に含まれないと判断し,これを公表周知させたことにつき,公職選挙法113条は,補欠選挙を行って定員を補充すべき時期を規定したものであり,いったん補欠選挙を行うことが決せられた以上は,補欠選挙を行うことが決せられた日以降に生じた欠員についてもできる限り同一の補欠選挙により選挙すべきであって,当該補欠選挙で選出されるべき議員の数は,告示の日における欠員の全部であるとして,市選挙管理委員会の前記措置は,前記選挙において選挙すべき議員の数を誤ったものであるとした事例
2 市議会議員補欠選挙には選挙の規定に違反し,かつ,選挙の結果に異動を及ぼす虞があるとして,県選挙管理委員会がした当該選挙を無効とするとの裁決の取消請求につき,市選挙管理委員会が,市議会議員補欠選挙において,告示の日前10日以内の辞職によって生じた欠員については補欠選挙により選挙すべき議員の数に含まれないと判断し,これを公表周知させたことは,同選挙において選挙すべき議員の数を誤ったものであるとした上,選挙すべき議員の数を誤り,これを少なく表示することは,立候補を検討する者の意思決定を誤らせて立候補の自由を侵害することとなり,ひいては選挙人の選択肢を狭め,選挙の自由を侵害するものということができ,重大な規定違反であって,同法205条1項にいう選挙の規定に違反する場合に当たり,選挙すべき議員の数について正確な数が公表されていたならば,前記選挙における立候補者数を上回る立候補があった可能性があり,新たな候補者があった場合には,候補者の当落に異なった結果が生じた可能性があるものということができるから,市選挙管理委員会が前記の違反をしたことは,選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に当たるとして,前記請求を棄却した事例
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