裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成18(行ク)20
- 事件名
執行停止の申立て事件(本案・平成18年(行ウ)第15号倉敷市民会館使用許可取消処分取消請求事件)
- 裁判年月日
平成18年10月24日
- 裁判所名
岡山地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
在日朝鮮人の音楽舞踊家が設立した歌劇団の公演を開催するためにされた市民会館の使用許可申請に対する使用許可について,倉敷市文化施設条例10条4号,12条4号が使用許可を取り消す事由として定める「施設等の管理上支障があると認めるとき」に当たるとしてされた前記許可の取消処分の執行停止の申立てが,認容された事例
- 裁判要旨
在日朝鮮人の音楽舞踊家が設立した歌劇団の公演を開催するためにされた市民会館の使用許可申請に対する使用許可について,倉敷市文化施設条例10条4号,12条4号が使用許可を取り消す事由として定める「施設等の管理上支障があると認めるとき」に当たるとしてされた前記許可の取消処分の執行停止の申立てにつき,前記処分により前記会館が使用できないとなると,公演予定日及びこれに近接した日に同様の公演を実現させることは事実上不可能であるため,前記公演を中止するほかなく,前記公演が中止となった場合には,多額の経済的損害を被るばかりか,前記公演の中止が憲法上の保障を伴う集会の自由や表現の自由に対する制約となることをも考慮すると,前記申立てには,行政事件訴訟法25条2項の「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」と認められ,また,前記会館は地方自治法244条にいう公の施設に当たるから正当な理由がない限り,これを利用することを拒んではならず,前記条例10条各号は,前記の正当な理由を具体化したものであるとした上,市内,県内において,前記公演の中止を求める抗議や街宣活動はあるものの,それ以上に,傷害事件や器物損壊事件等の犯罪行為に至るまでの過激な抗議行動等があったことなどの疎明はなく,そうした行為が現実に行われることを具体的に明らかに予測させる客観的事実は何も存在しないことなどからすれば,警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなどの特別な事情があると認めることは困難であるから,前記条例10条4号に定める「施設等の管理上支障がある」との事態が生ずるとは認め難く,行政事件訴訟法25条4項の「本案について理由がないとみえるとき」には該当しないし,また,同項の「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある」ということもできないとして,前記申立てを認容した事例
- 全文