裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成16(行コ)12
- 事件名
在ブラジル被爆者健康管理手当等請求控訴事件(原審・広島地方裁判所平成14年(行ウ)第14号,同第20号)
- 裁判年月日
平成18年2月8日
- 裁判所名
広島高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき被爆者として健康管理手当の支給認定を受けた後,日本国の領域を超えて居住地を移したことにより,健康管理手当の支給を打ち切られた者が県に対してした未支給分の健康管理手当の支払請求が,当該支払請求権についての県の時効消滅の主張は信義則に反し,権利の濫用に当たり,許されないとして,認容された事例
- 裁判要旨
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき被爆者として健康管理手当の支給認定を受けた後,日本国の領域を超えて居住地を移したことにより,健康管理手当の支給を打ち切られた者が県に対してした未支給分の健康管理手当の支払請求につき,原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(昭和32年法律第41号。平成6年法律第117号による廃止前。以下「原爆医療法」という。)2条の被爆者が日本国の領域を越えて居住地を移した場合は,健康管理手当受給権を失うとした昭和49年7月22日付け厚生省公衆衛生局長通達は,原爆医療法の被爆者について,当該被爆者が日本国に居住も現在もしなくなることにより,当然に被爆者たる地位を喪失するとの解釈を前提に,原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律(昭和43年法律第53号。平成6年法律第117号による廃止前)を解釈する点で誤りであり,その後に制定された原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の解釈としても妥当しないのであって,同通達は,国家補償的配慮から認められた被爆者の権利を長期間にわたり否定してきたのであり,前記請求に対して地方自治法236条2項を適用することは,その奪われた権利を回復する道を閉ざすものであって,著しく正義に反するから,当該支払請求権についての県の消滅時効の主張は信義則に反し,権利の濫用に当たり,許されないとして,前記請求を認容した事例
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