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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)2

事件名

 起債行為差止請求事件

裁判年月日

 平成18年9月25日

裁判所名

 大津地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 新幹線の運行に影響を及ぼさないよう新幹線の新駅設置工事をするため,県,関係各市長等で構成される新幹線駅設置促進協議会などにおいて,仮線を設置する工法を採ることとされ,また,関係首長会議において,前記仮線工事費のうち2分の1を新駅を設置する市が負担する旨の合意がされ,当該債務負担について同市議会の議決を経ている場合において,市が前記市負担部分の一部について,地方財政法5条5号に定める道路の建設事業費に当たるとして起債で賄うこととしたのは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき市長に対してされた前記起債行為の差止めを求める請求が,一部認容された事例

裁判要旨

 新幹線の運行に影響を及ぼさないよう新幹線の新駅設置工事をするため,県,関係各市長等で構成される新幹線駅設置促進協議会などにおいて,仮線を設置する工法を採ることとされ,また,関係首長会議において,前記仮線工事費のうち2分の1を新駅を設置する市が負担する旨の合意がされ,当該債務負担について同市議会の議決を経ている場合において,市が前記市負担部分の一部について,地方財政法5条5号に定める道路の建設事業費に当たるとして起債で賄うこととしたのは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき市長に対してされた前記起債行為の差止めを求める請求につき,地方財政法5条5号の道路の建設事業費には,当該道路建設工事をするに当たって必要な別途の工事の費用も含まれると解すべきであるが,当該別途の工事が必要かどうかについては,地方債の発行目的を制限することによって地方公共団体の財政運営の健全化を図ろうとする同条の趣旨から,当該道路工事の工法等からみて,当該別途の工事をすることが必要不可欠かどうか,また,その工法による工事を行うことが,経済的合理性,安全性,土木技術上の観点,その他諸事情を考慮して合理性を有するかどうかで判断するのが相当であるとした上,仮線工法のほかに,高架橋(跨道橋)又は地下道の建設により施工するという複数の工法が考えられるところ,前記仮線工事費は,前記道路拡幅工事費に比してあまりに高額であり,他の工法と比較して経済的合理性を欠き,また,前記仮線工事は,前記道路拡幅工事と一体不可分,必要不可欠とはいえないことなどからすれば,前記仮線工事費は,地方財政法5条5号の道路建設事業費に含まれないから,前記起債行為は違法であり,既に借入済み分の部分を除き,今後の起債行為が相当の確実さをもって予測されるとして,前記請求を一部認容した事例

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