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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行ウ)6

事件名

 違法公金支出返還請求事件

裁判年月日

 平成18年9月25日

裁判所名

 仙台地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 市が設置,運営する市立病院が,国立大学(当時)の医局に対して研究協力金の名称でした公金支出が違法無効であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長に対してされた,国立大学法人法に基づき前記大学が行う業務に関する権利義務を承継した国立大学法人に対して不当利得返還請求をするよう求める請求が,認容された事例

裁判要旨

 市が設置,運営する市立病院が,国立大学(当時)の医局に対して研究協力金の名称でした公金支出が違法無効であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長に対してされた,国立大学法人法に基づき前記大学が行う業務に関する権利義務を承継した国立大学法人に対して不当利得返還請求をするよう求める請求につき,地方自治法232条の2の特則である地方財政再建促進特別措置法(平成10年法律第62号による改正前等)24条2項は,国等と地方公共団体との間の経費負担区分をみだし,地方財政秩序を混乱させる弊害を防止し,地方財政の健全化を図るため,同項ただし書に当たる場合を除き,地方公共団体が国等に対して寄附金等の支出をすることは,強制的なものであると任意的なものであるとを問わず,それが当該地方公共団体にとって必要ないし利益であるとにかかわりなく,すべてこれを禁止しているものと解され,また,寄附金等を支出する相手方が形式的には国等でなくとも,その組織の実態等に照らし実質的にみて国等に対する支出と同視できるような場合も,法の禁止を潜脱する意図の有無を問わず同項に定める規制の対象になるものと解するのが相当であるとした上,診療及び教育のための研究とそれに要する経費との観点で見れば,前記医局と前記国立大学の研究科,診療科とは実質上同一ともいうべき密接な関係があり,その結果,前記市立病院が研究助成目的の寄附金として医局に対してした前記公金支出は,実質的にみて,同大学の研究科,診療科に対する奨学寄附金の支出と同視できるから,地方財政再建促進特別措置法(前記改正前)24条2項に違反し,違法無効であるというべきであるとして,前記請求を認容した事例

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