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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行コ)27

事件名

 損害賠償代位請求控訴事件(原審・山形地方裁判所平成13年(行ウ)第1号)

裁判年月日

 平成18年9月29日

裁判所名

 仙台高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 町長であった者が在職中に,町有地にある砂利を,第三セクター方式で町も出資している会社に,適正な対価によらないのに地方自治法237条2項所定の議会の議決を経ずに売却したことが違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づいてされた,町長であった者に対する損害賠償請求が,棄却された事例 
2 町長であった者が在職中に,町有地にある砂利を,第三セクター方式で町も出資している会社に売却したことが,町と当該会社の双方を代表して行った双方代表行為であり,事前に議会の承認がないため違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づいてされた,町長であった者に対する損害賠償請求が,棄却された事例
 

裁判要旨

 1 町長であった者が在職中に,町有地にある砂利を,第三セクター方式で町も出資している会社に,適正な対価によらないのに地方自治法237条2項所定の議会の議決を経ずに売却したことが違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づいてされた,町長であった者に対する損害賠償請求につき,前記売却の価格は,その前5年間の売買実例のうち,民間の取引価格を引き上げることにならないようにするため,最安値を選択したというものであって,著しく低廉な価格とはいえず,前記売却が適正な対価によらずにされたものとはいえないとして,前記請求を棄却した事例 
2 町長であった者が在職中に,町有地にある砂利を,第三セクター方式で町も出資している会社に売却したことが,町と当該会社の双方を代表して行った双方代表行為であり,事前に議会の承認がないため違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づいてされた,町長であった者に対する損害賠償請求につき,地方公共団体の長が自らが代表者である他の団体との間で,双方を代表して契約を締結する場合には,民法(平成16年法律第147号による改正前)108条が類推適用され,地方公共団体の長による利益相反行為として,その効果は本人である地方公共団体には帰属しないというべきであるが,議会が長による上記行為を追認した場合には,民法(同改正前)116条の類推適用により,本人である地方公共団体に法律効果が帰属すると解すべきであるところ,議会による追認は,長による双方代表行為がされたことを認識して,その行為の法律効果を地方公共団体に帰属させる意思が表明されれば足り,追認の個別議案として明示的に議決されることまでは要しないと解すべきであるとした上で,前記売却については,町議会で売却による歳入が計上された補正予算を審議した際,出席議員から町長が町と前記会社の双方を代表して行ったものであることの指摘がされていたことが認められ,町議会が当該補正予算を可決したことで,前記売却が町長の双方代表行為であることを認識した上でその法律効果を町に帰属させることを黙示に表明したということができ,これによって双方代表行為は追認されたと認めることができるとして,前記請求を棄却した事例
 

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