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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)226

事件名

 固定資産課税台帳登録価格修正等請求控訴事件(原審・横浜地方裁判所平成16年(行ウ)第78号)

裁判年月日

 平成18年11月15日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 行政事件訴訟法3条6項1号に基づいて提起された,地方税法417条1項の規定による固定資産税に係る固定資産の固定資産課税台帳に登録された価格の修正処分及び修正された価格の登録処分を市長に求めた義務付けの訴えが,却下された事例 
2 
国家賠償法1条1項に基づき課税処分の違法を理由としてされた過納金相当額等の損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 行政事件訴訟法3条6項1号に基づいて提起された,地方税法417条1項の規定による固定資産税に係る固定資産の固定資産課税台帳に登録された価格(以下「登録価格」という。)の修正処分及び修正された価格の登録処分を市長に求めた義務付けの訴えにつき,同訴えが地方税法(以下「法」という。)上の処分を求めるものであるところ,課税処分に対する不服申立制度には,比較的短期間に大量的になされるところの課税処分を可及的速やかに確定させることにより徴税行政の安定とその円滑な運営を確保しようという要請が働いており,このような不服申立制度の一つである審査請求制度における法432条1項,434条1項及び2項の定めからすれば,法が争訟方法を限定することなく審査請求手続以外の手続によって固定資産の評価を一般的に争えることを許容していると解することは著しく相当性を欠くものであり,また,行政事件訴訟法が改正され,義務付け訴訟を提起できる要件が定められたとはいえ,同法37条の2第1項においても「その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り」提起することができるにすぎず,審査請求制度は正に「適当な方法」というべきであって,前記義務付けの訴えは不適法なものといわなければならないなどとして,前記訴えを却下した事例 
2 国家賠償法1条1項に基づき課税処分の違法を理由としてされた過納金相当額等の損害賠償請求につき,国家賠償法に基づく損害賠償の請求と過納金の還付請求が同一内容である場合に国家賠償請求が可能であるとすると,実質的には,当該課税処分を取り消すことなく過納金の返還請求を認めたのと同一の効果が生ずることとなり,不服申立期間の制限等により課税処分を早期に確定させて徴税行政の安定とその円滑な運営を確保しようとした法の趣旨が没却される結果を招来することになるから,当該課税処分が無効なものではなく取り消し得べきものにとどまる場合には,これを取り消したうえでなければ国家賠償請求は許されないとした上,前記請求は,過納金の返還請求と同一であり,前記課税処分は無効とはいえないから,同処分を取り消した上でなければ,前記請求をすることはできないとして,前記請求を棄却した事例

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