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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成14(行ウ)16

事件名

 建築確認処分取消請求事件

裁判年月日

 平成18年11月22日

裁判所名

 横浜地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 敷地の一部が斜面地を埋め立てた盛土部分である建築物について,近隣住民がした,建築基準法6条の2第1項に基づく建築確認処分の取消しを求めた訴えにつき,前記盛土部分の上端から水平距離にして30メートルの範囲内に居住する住民らの原告適格を認めた事例

裁判要旨

 敷地の一部が斜面地を埋め立てた盛土部分である建築物について,近隣住民がした,建築基準法6条の2第1項に基づく建築確認処分の取消しを求めた訴えにつき,建築基準法20条,同法施行令93条は,建築物の構造耐力,地盤の許容応力等を定めたもので,当該建築物の安全確保を目的としていることは明らかであるところ,当該建築物の地盤が前記各規定に反して必要な許容応力を欠く場合には,その敷地や建築物自体に変形が生じたり,当該建築物が斜面地に建築されるような場合には建築物の倒壊といった事態も想定され,その被害は当該建築物及びその敷地に止まるものではなく,これに近接する一定範囲の地域に居住する住民に直接的に及ぶことが予想されることなどから,前記各規定は,そのような直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者の生命,身体の安全,財産の保護等を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解するのが相当であるとした上,前記盛土が造成された経緯,その規模,住民らの居住位置,前記建築物に係る建築計画の内容等に照らせば,前記建築物の支持基礎が許容応力を欠き,それに起因して前記盛土部分に崩落や地すべり等が発生し,前記盛土部分もろともに倒壊したりすることにより,自らの敷地までもが巻き込まれる等して直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域は,前記盛土部分の上端から水平距離にして30メートルの範囲までと認めるのが相当であるとして,同範囲内に居住する住民らの原告適格を認めた事例

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