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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)11

事件名

 不当利得返還代位等請求控訴事件(原審・青森地方裁判所平成17年(行ウ)第8号)

裁判年月日

 平成18年11月21日

裁判所名

 仙台高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 合併前の市と町が地方自治法(平成16年法律第57号による改正前)91条7項の規定に基づき,新たに設置される市の市議会議員の定数を定める協議と,市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号。平成17年4月1日失効)7条1項1号の規定に基づき,市及び町の各議会議員が引き続き新たな市の市議会議員として在任することの協議とを成立させたところ,住民が,前記各協議は合併前の町において法定の告示を欠いており無効であるから,一部の議員らは市議会議員としての地位を有しておらず,議員報酬等の支給を受ける権利を有しないとして,地方自治法242条の2第1項1号及び4号に基づき市長に対してした,前記一部の議員らに対する既払議員報酬等についての不当利得返還請求をするよう求める請求及び未払議員報酬等についての支給差止請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

 合併前の市と町が地方自治法(平成16年法律第57号による改正前)91条7項の規定に基づき,新たに設置される市の市議会議員の定数を定める協議(以下「議員定数協議」という。)と,市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号。平成17年4月1日失効。以下「市町村合併特例法」という。)7条1項1号の規定に基づき,市及び町の各議会議員が引き続き新たな市の市議会議員として在任することの協議(以下「在任特例協議」という。)とを成立させたところ,住民が,前記各協議は合併前の町において法定の告示を欠いており無効であるから,一部の議員らは市議会議員としての地位を有しておらず,議員報酬等の支給を受ける権利を有しないとして,地方自治法242条の2第1項1号及び4号に基づき市長に対してした,前記一部の議員らに対する既払議員報酬等についての不当利得返還請求をするよう求める請求及び未払議員報酬等についての支給差止請求につき,前記各協議について,法定の告示が必要であったにもかかわらず,合併前の町においてその告示を欠いたものであるとした上で,市町村合併特例法6条8項の趣旨は,同項に定める告示をもって,議員定数特例協議や在任特例協議の効力発生要件にしたものではなく,これらの協議で定められた事項を広く住民に周知させる事実行為と位置付けているものと解するのが相当であり,同項に定める告示を欠いた場合においてもそのことによって当然に無効ということはできず,在任特例協議は,合併前の町において法定の告示を欠いているという瑕疵はあるものの,なお有効であり,したがって,前記一部の議員らは市議会議員としての身分を有しているとして,前記各請求をいずれも棄却した事例

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