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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ケ)4

事件名

 選挙の効力に関する裁決取消請求事件

裁判年月日

 平成18年12月13日

裁判所名

 名古屋高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 市議会議員補欠選挙において,市選挙管理委員会が選挙すべき議員の数を誤って発表・周知して選挙の管理執行をしたことが選挙の規定に違反し,そのことによって,選挙の結果に異動を及ぼす虞があるとして同選挙を無効とした県選挙管理委員会の裁決の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 市議会議員補欠選挙において,市選挙管理委員会が選挙すべき議員の数を誤って発表・周知して選挙の管理執行をしたことが選挙の規定に違反し,そのことによって,選挙の結果に異動を及ぼす虞があるとして同選挙を無効とした県選挙管理委員会の裁決の取消請求につき,公職選挙法113条3項ただし書は,当該選挙区において行われる同一の地方公共団体の選挙の告示日前10日以内に同法111条1項3号の規定による議員の欠員の通知を受けても,もはや補欠選挙は行わないということを規定するに止まるものであり,同法113条3項本文によるいわゆる便乗補欠選挙の実施が決まっていた場合に,上記告示日10日以内にされた欠員通知にかかる欠員を選挙すべき議員の数に含めないことまで規定するものと解することはできず,便乗補欠選挙の実施が決まったのであれば,選挙運動期間の公平が確保できる範囲内においては,その後に生じた欠員についてもできる限りその補欠選挙で選出すべきであり,当該補欠選挙の選挙すべき議員の数は,その選挙の告示日における欠員の全部と解するのが相当であるとした上,前記選挙において,市選挙管理委員会が,選挙すべき議員の数という立候補を検討する者の意思決定に重大な影響を及ぼすことが明らかな事項について,誤った前提のままで報道機関への回答,選挙の管理執行を行ったことは,立候補の自由を侵害するのみならず,選挙人の選択肢を狭め,ひいては自由公正な選挙を阻害する重大な違反であるから,「選挙の規定に違反する」ことがあったものと認められ,かつ,選挙すべき者の数が何名であるかということは,候補者又は候補者になろうとする者にとって最大の関心事であり,その数によっては,立候補者の数に影響を及ぼすことや,競争率,候補者の顔ぶれなどにも影響を与え,ひいては選挙人の判断にも影響を及ぼして選挙の結果に異動を及ぼす可能性の存することは容易に推察されることなどからすれば,前記選挙には,「選挙の規定に違反すること」があることにより,「選挙の結果に異動を及ぼす虞」があるものと認められるから,前記選挙は無効とすべきであるとして,前記請求を棄却した事例

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