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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)99

事件名

 不開示決定処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成17年(行ウ)第170号)

裁判年月日

 平成19年1月31日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律13条1項に基づく社会保険庁の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示請求に対し,社会保険庁長官がした全部を開示しない旨の決定の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律13条1項に基づく社会保険庁の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示請求に対し,社会保険庁長官がした全部を開示しない旨の決定の取消請求につき,同法の下では,行政文書に記載されている保有個人情報が広く開示請求の対象とされ,検索の比較的容易な電子計算機処理に係る保有個人情報だけではなく,検索の容易でない手作業による処理に係る保有個人情報も開示請求の対象情報に含まれることになったことから,行政機関の長が開示請求の対象情報を検索,審査して所定の期間内に開示決定等を行うことを可能にし,開示請求制度の適正かつ円滑な運用を確保するために,同法13条1項2号の規定が置かれ,開示請求者に対して開示請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項を開示請求書に記載することが義務付けられたものと解するのが相当であり,同法47条により行政機関の長は,保有個人情報の特定に資する情報の提供その他開示請求等をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずべき一般的な義務を負うとともに,同法13条3項により保有個人情報を特定するに足りる事項の記載が不十分であるなど,開示請求書に形式的な不備がある場合には,補正の参考となる情報の提供に努めなければならないものとされていることを考慮すると,開示請求者には,行政機関が相応の努力によって開示請求の対象情報を特定し得る程度に具体的な記載をすることが求められているとした上,前記開示請求に係る開示請求書には,「社会保険庁に保有している私の個人情報昭和34年3月から現在までの厚生年金保険,厚生障害年金保険の資料全部をお願いします。」と記載されているほかには,開示請求の対象範囲を特定するに足りる事項の記載はなかったこと等からすれば,前記開示請求には,社会保険庁が相応の努力によって開示請求の対象情報を特定し得る程度に具体的な記載がなかったというべきであるから,前記決定は適法であるとして,前記取消請求を棄却した事例

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