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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)84

事件名

 公文書部分公開処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成17年(行ウ)第221号)

裁判年月日

 平成19年1月31日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 市教育委員会が実施した各年度の市立小中学校学力診断テストの中学校実施部分に関する学校別一覧に係る文書に記録された各中学校別の平均得点及び到達評価に係る情報が,枚方市情報公開条例(平成9年枚方市条例第23号)6条7号において実施機関が公開をしないことができる情報として規定する「公開することにより,当該事務事業の目的を著しく失わせ,又はこれらの事務事業の適正若しくは公正な執行を著しく妨げると認められるもの」に該当しないとされた事例

裁判要旨

 市教育委員会が実施した各年度の市立小中学校学力診断テストの中学校実施部分に関する学校別一覧に係る文書に記録された各中学校別の平均得点及び到達評価に係る情報につき,枚方市情報公開条例(平成9年枚方市条例第23号)6条7号は,「公開することにより,当該事務事業の目的を著しく失わせ,又はこれらの事務事業の適正若しくは公正な執行を著しく妨げると認められるもの」を実施機関が公開をしないことができる情報として規定しているところ,前記テストの成績に基づいて各中学校のランク付けがされ,生徒,保護者,市民等が当該成績の順位のみをもって各中学校を評価することになるおそれがあるとの懸念については,前記テストが,生徒の学力を測ることを目的としており,各学校各学年の平均得点や到達評価がほぼ同程度になることが期待されているはずであり,少なくともある学校が他の学校より極端に高い平均得点や到達評価を得ることが期待されているとは考えられないことについて,生徒,保護者,市民等の理解を得るよう努力して,その弊害を除去,減少すべきであって,前記懸念は大きいものとはいえず,また,中学校の順位付けがされることによって,生徒が,劣等感や優越感を感じることを完全には否定できないが,これは,教職員や保護者が必要に応じて指導や注意をすれば足りる程度の感情であり,さらに,文部科学省に設置された「全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家検討会議」が,全国的な学力調査により得られた調査データは,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条6号イ又はハに該当するものとして取り扱うことが適当と考えられることを指摘しているとしても,前記条例6条7号と比較した場合,同法5条6号は,事務支障の「おそれ」があれば足りるとしている点,事務支障の程度が「著し」いことを要件としていない点の2点において,不開示情報の範囲が広げられているのであるから,同法上の不開示情報への該当可能性があることをもって,前記条例の非公開情報への該当性を基礎づけることはできないなどとして,前記情報は,前記条例6条7号所定の情報に該当しないとした事例

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