裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)171

事件名

 文書非開示処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)105号)

裁判年月日

 平成19年1月24日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 警視庁において作成される警察官の制服の購入契約に係る契約締結起案文書及び入札経過調書中,(1)契約締結起案文書を起案した警視庁の職員の氏名,(2)入札経過調書中の「被服係長」欄,「主査」欄及び「担当者」欄の各印影並びに同調書中の「第1回入札金額」欄の訂正された数字に入札担当者が押捺した訂正印の印影,(3)契約締結起案文書中の「起案」欄のうち,「主査」欄及び「事務担当者」欄の各印影並びに同文書中の「審議」欄のうち,「係長」欄の各印影に含まれる各情報が,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条2号ただし書イ所定の「法令等の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報」に該当しないとされた事例 
2 警視庁において作成される警察官の制服の購入契約に係る契約締結起案文書中に記載された契約目処額,予定価格等の各金額及び入札経過調書中に記載された予定価格の金額の各情報が,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条6号に非開示事由として規定する「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」に該当するとされた事例

裁判要旨

 1 警視庁において作成される警察官の制服の購入契約に係る契約締結起案文書及び入札経過調書中,(1)契約締結起案文書を起案した警視庁の職員の氏名,(2)入札経過調書中の「被服係長」欄,「主査」欄及び「担当者」欄の各印影並びに同調書中の「第1回入札金額」欄の訂正された数字に入札担当者が押捺した訂正印の印影,(3)契約締結起案文書中の「起案」欄のうち,「主査」欄及び「事務担当者」欄の各印影並びに同文書中の「審議」欄のうち,「係長」欄の各印影に含まれる各情報につき,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条2号の規定に照らすと,同号は,公務員の職務遂行に係る情報のうち,当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分は,開示すべきものとするが,当該公務員の氏名等,個人を識別することができる情報については,同号ただし書イにいう「法令等の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報」に当たらない限り,開示しないこととしているものと解するのが相当であるとした上,警視庁が,慣行として,管理職又は管理職相当職の立場にある職員の氏名,役職及び配置所属を公にすることとし,人事異動の際には,その内容を主要な新聞において公表していることは認められるものの,一部開示決定がされた平成17年1月6日当時,係長,主査等の職員の氏名及び印影を公にし,又は公にすることを予定した法令等又は慣行が存在したと認めるに足りる証拠はないとして,前記各情報は,いずれも前記条例7条2号ただし書イに該当しないとされた事例 
2 警視庁において作成される警察官の制服の購入契約に係る契約締結起案文書中に記載された契約目処額,予定価格等の各金額及び入札経過調書中に記載された予定価格の金額の各情報につき,同情報は,競争入札又は契約という事務に関する情報に該当するとした上,物品の購入契約においては,公共工事等の場合と比べて予定価格を算出する際に考慮される構成要素が少ないことなどからすれば,物品の購入契約を競争入札の方法により締結した後に,当該競争入札における予定価格,契約目処額等を開示すると,その後に当該物品と同一又は同種の物品の購入契約を競争入札の方法により締結しようとして行う際の競争入札においてその予定価格を相当の精度をもって推察することができることになり,その場合には,適正な競争が阻害されて,落札価格が予定価格に近接して高止まりの金額になるという事態の発生が十分に予想され,また,談合を誘発するおそれも考えられるところ,このような弊害が生ずるおそれは具体的なおそれであり,また,競争入札における透明性を向上させることによって予算の効率的な執行を図ることができるという,予定価格を公表することの利点を考慮しても,前記弊害は看過し得ない程度のものと認められるとして,前記各情報が,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条6号に非開示事由として規定する「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」に該当するとした事例

全文