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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行コ)56等

事件名

 損害賠償等住民訴訟控訴・同附帯控訴事件

裁判年月日

 平成19年5月30日

裁判所名

 名古屋高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 市が,市の斎場建設用地として取得した牧場等の土地の売買代金,牛舎移転に伴う損失補償等を支出したことが違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき市長個人に対してされた損害賠償請求が,一部認容された事例

裁判要旨

 市が,市の斎場建設用地として取得した牧場等の土地の売買代金,牛舎移転に伴う損失補償等を支出したことが違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき市長個人に対してされた損害賠償請求につき,前記土地の買収価格は,不動産鑑定士による鑑定結果(以下「第2鑑定」という。)によったものであるところ,それ以前に同一の土地について同鑑定士による鑑定結果(以下「第1鑑定」という。)が存在し,第2鑑定の評価額はこの第1鑑定の評価額を大幅に上回るものであったし,当時一般的には地価が下落を続けていたことは公知の事実といえるのであるから,市としては,第2鑑定の結果について,第1鑑定と比較するなど,十分に検討すべきであったにもかかわらず,第2鑑定の鑑定書を審査することもなく,その価格で買収することを決め,市議会に用地買収価格を提示し,売主らと仮契約を締結して手続を進める一方,市議会の特別委員会等において鑑定書の提示を要求されたのに対してこれを拒絶し,土地取得についての市議会の議決の日に同鑑定書を提示したものの,議員らにこれを検討する機会も十分に与えず,買収価格が高過ぎると追及されても,再鑑定に付する意思もないと答弁していたという経緯や,前記買収価格が適正価額の1.39倍に達していることを総合すると,市長には前記土地の売買契約を締結するにつき裁量権を逸脱又は濫用した違法があったものというべきであり,故意又は過失があったものといわなければならず,前記売買代金から適正価額を差し引いた金額が市の損害となるとして,前記請求を一部認容した事例

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