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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ク)28

事件名

 仮の差止め申立事件(本案・当庁平成19年(行ウ)第65号保険医の登録の取消処分差止請求事件)

裁判年月日

 平成19年2月13日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 健康保険法に基づき保険医の登録を受けている医師がした保険医登録取消処分の仮の差止めの申立てが,「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要」があるとはいえないとして却下された事例

裁判要旨

 健康保険法に基づき保険医の登録を受けている医師がした保険医登録取消処分の仮の差止めの申立てにつき,行政事件訴訟法37条の5第2項にいう「償うことのできない損害」とは,処分の差止めの訴えの要件である「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合」及び処分の執行停止の要件である「処分,処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害」よりも損害の回復の困難の程度が著しい場合をいうものと解すべきであり,このような見地から,金銭賠償が不可能な損害が発生する場合のほか,社会通念に照らして金銭賠償のみによることが著しく不相当と認められるような場合を指し,そのような損害の有無を判断するに当たっては,損害の性質,程度を考慮するとともに,処分の内容,性質をも勘案するのが相当というべきであるとした上,前記処分がされた場合でも,直ちに前記医師の医師免許が取り消されるものではなく,同処分の取消し等の訴えを提起するとともに,執行停止の申立てをする手続も保障されており,前記医師が経営する医療法人の経営が困難になるとまではいい難いことに加え,保険医の登録制度の目的やその取消処分の性質等の諸事情を総合考慮すると,前記医師について,前記処分がされることにより,金銭賠償が不可能な損害が発生する場合のほか,社会通念に照らして金銭賠償のみによることが著しく不相当と認められるような,回復の困難の程度が著しい損害が生じるとまではいうことができないから,同項の「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要」があるとはいえないとして,前記申立てを却下した事例

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