裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)428

事件名

 建築物是正命令等請求事件

裁判年月日

 平成19年1月31日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 建設中の建築物の敷地の隣接地に居住する住民らが,前記建築物が建築基準法43条1項に違反する違法建築物であることを理由に,特定行政庁である東京都の特別区の区長に対し提起した,前記建築物について同法9条1項に基づく是正命令権限を行使することの義務付けを求める主位的請求に係る訴えと同区長が同項に基づく是正命令権限を行使しないことが違法であることの確認を求める予備的請求に係る訴えが,いずれも不適法であるとして却下された事例

裁判要旨

 建設中の建築物の敷地の隣接地に居住する住民らが,前記建築物が建築基準法43条1項に違反する違法建築物であることを理由に,特定行政庁である東京都の特別区の区長に対し提起した,前記建築物について同法9条1項に基づく是正命令権限を行使することの義務付けを求める主位的請求に係る訴えと同区長が同項に基づく是正命令権限を行使しないことが違法であることの確認を求める予備的請求に係る訴えにつき,主位的請求に係る訴えは,行政事件訴訟法3条6項1号に規定するいわゆる非申請型の義務付けの訴えであるところ,前記建築物の工事は,一部についてコンクリート基礎工事がされているにすぎず,現時点においては,前記建築物につき火災や倒壊等の危険が生じているとはいい難いこと,前記敷地から公道に出るまでの通路状部分における通行可能な幅員は2メートル以上が確保されており,火災等の緊急時に消火活動等に特段の支障が生じるものとは認め難いことからすると,前記建築物についての是正命令権限が行使されないことにより,前記住民に重大な損害を生ずるおそれがあるということはできないから,前記主位的請求に係る訴えは同法37条の2第1項の要件を欠き,また,予備的請求に係る不作為の違法確認の訴えの実質は,行政庁の公権力の不行使が違法であることを確認することにより,行政庁に対して公権力の行使を間接的に義務付けることを求めるものであるから,義務付け訴訟としての性質を有する無名抗告訴訟と解されるところ,前記建築物の工事の進行状況及び前記敷地から公道に出るまでの通路状部分の幅員に関する前記の事実からすると,事前審査を認めないと,行政庁の作為又は不作為によって前記住民が受ける損害が大きく,事前救済の必要性がある(緊急性の要件)ということはできないから,前記予備的請求に係る訴えは無名抗告訴訟としての不作為の違法確認の訴えが許容される要件を満たさないとして,前記各訴えをいずれも却下した事例

全文