裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成18(行コ)251
- 事件名
裁決取消,建築認定処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第386号(甲事件),平成17年(行ウ)第435号(乙事件))
- 裁判年月日
平成19年1月24日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 都の特別区の区長が東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づいてした,接道義務を定めた同条1項及び2項の規定を適用しない旨の認定が,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例
2 都の特別区の区長が東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づいてした,接道義務を定めた同条1項及び2項の規定を適用しない旨の認定処分の取消しを求める訴えにつき,同認定に係る建築物の敷地の隣接地に存する建築物の区分所有者により構成される建物の区分所有等に関する法律3条所定の区分所有者の団体の原告適格が否定された事例
- 裁判要旨
1 都の特別区の区長が東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づいてした,接道義務を定めた同条1項及び2項の規定を適用しない旨の認定につき,同条3項に基づく認定の申請をした者は,知事が同条1項及び2項の規定を適用しない旨の認定をした場合には,建築基準法43条1項の規定する幅員4メートル(特定の区域内では6メートル)の道路に2メートル接すればよいという制限を受けるにとどまるのに対し,知事が認定をしなかった場合には,前記条例4条1項及び2項の規定に基づくより厳しい接道の規制を受けることとなり,その結果,建築基準法43条1項所定の接道の要件を満たすものの,前記条例4条1項及び2項所定の接道の要件を満たすことができない場合には,建築基準法6条又は6条の2所定の建築確認を受けることができないこととなるのであるから,前記認定は,申請者の法的地位に重大な影響を与えるものであり,申請者個々人に対する権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものというべきであるから,抗告訴訟の対象となる行政処分に該当するとした事例
2 都の特別の区長が東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づいてした,接道義務を定めた同条1項及び2項の規定を適用しない旨の認定処分の取消しを求める訴えにつき,建築基準法43条1項及び2項の趣旨を考慮すると,前記条例4条1項及び2項が設けられたのは,一定の規模を超える建築物について,平常時における通行を確保するためだけではなく,火災等の災害が発生した場合における避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うためであると解するのが相当であり,同条3項が知事の認定に当たり「建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況」を勘案すべきものとしているのは,当該建築物が火災等により炎上するなどの事態が生じた場合に,これに隣接する建築物等やその居住者等に重大な被害が及ぶことのないようにするためであると解するのが相当であるから,以上のような同項の趣旨や目的,同項が知事の認定を通して保護しようとしている利益の内容や性質等を考慮すると,同項は,同項の認定に係る建築物の火災等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきであり,そうすると,同項の認定に係る建築物の火災等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該認定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものと解するのが相当であるが,前記認定に係る建築物の敷地の隣接地に存する建築物の区分所有者により構成される建物の区分所有等に関する法律3条所定の区分所有者の団体については,生命及び身体の安全等という法律上の利益を有していると認めることはできず,また,同団体は,同建築物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うため構成されているのであって,その管理及びこれに関する一定の業務の遂行以上の権能を有せず,かつ,区分所有建物を所有しているものでもないから,財産としての建築物という法律上の利益を有しているということもできないとして,同団体の原告適格を否定した事例
- 全文