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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ク)7

事件名

 執行停止申立て事件(本案・平成19年(行ウ)第14号住民票消除処分差止め請求事件)

裁判年月日

 平成19年2月20日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 住民基本台帳法8条に基づく職権による消除によって住民票を消除されようとしている者がした同処分の仮の差止めの申立てが,却下された事例

裁判要旨

 住民基本台帳法8条に基づく職権による消除によって住民票を消除されようとしている者がした同処分の仮の差止めの申立てにつき,前記処分により,少なくとも市議会議員の一般選挙において選挙権を行使することが極めて困難にならざるを得ないのであり,憲法15条1項,3項,93条2項等によって保障されている選挙権を行使する権利が侵害されるというべきであるところ,選挙権は憲法によって保障され,当該権利又はその行使を制限することが原則として許されない国民の重要な権利であるにとどまらず,侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものであることにかんがみると,前記申立てに係る本案の訴えは行政事件訴訟法37条の4第1項にいう「重大な損害を生ずるおそれがある場合」の要件を満たし,前記申立ては同法37条の5第2項にいう「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があ」るの要件をも満たすというべきであるが,住民基本台帳法4条に規定する住民の住所とは,生活の本拠,すなわち,その者の生活に最も関係の深い一般的生活,全生活の中心を指すものであり,一定の場所がある者の住所であるか否かは,客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解されるところ,前記の者の住民票に住所として記載されている場所については,起臥寝食の場所としたことはなく,単に郵便物の郵送先として利用し,月に1ないし2回,郵便物を受領するために赴くにすぎない建物の所在地であって,これを住民基本台帳法にいう住所として認めることはできないことなどからすれば,行政事件訴訟法37条の5第2項にいう「本案について理由があるとみえるとき」の要件を満たさないとして,前記申立てを却下した事例

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