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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)1

事件名

 所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成16年(行ウ)第59ないし第61号)

裁判年月日

 平成19年3月8日

裁判所名

 名古屋高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 民法上の組合として行った船舶賃貸事業に係る収益が不動産所得に当たることを前提に,その減価償却費等を損益通算して所得税の確定申告を行った前記組合の組合員らに対し,同人らの締結した組合参加契約は利益配当契約にすぎず,同収益は雑所得であって損益通算は許されないとして税務署長がした更正処分等の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

 民法上の組合として行った船舶賃貸事業に係る収益が不動産所得に当たることを前提に,その減価償却費等を損益通算して所得税の確定申告を行った前記組合の組合員らに対し,同人らの締結した組合参加契約は利益配当契約にすぎず,同収益は雑所得であって損益通算は許されないとして税務署長がした更正処分等の取消請求につき,租税法が課税対象としている国民の私的経済活動等については,租税法において特別の定義等がされていない限り,その意味内容も,まず私法によって解釈されなければならないが,当事者が選択した契約類型における当事者の真意の探求は,当該契約類型や契約内容自体に着目し,それが当事者が意図した法的,経済的目的を達成する上で,社会通念上著しく複雑,迂遠なものであって,到底その合理性を是認できないものであるか否かの客観的な見地から判断されるべきものであるとした上,前記事業を遂行する上で,民法上の組合契約の法形式は,同形式をとることによって,利益配当契約よりも出資者の利益に配慮することが可能となることなどから,通常用いられることのない法形式であるとはいえず,また,前記組合参加契約は,民法上の組合契約の要件を充足していると認められ,英国領ケイマン諸島の法律上,前記組合員らは前記事業に係る各船舶の共有持分権を有していると認められるから,前記事業による収益は不動産所得として区分されるべきであり,また,前記各船舶は前記組合員にとって所得税法49条1項にいう減価償却資産に当たると認められるところ,前記組合員が前記船舶に係る減価償却の利益を得ることを主目的として前記組合に参加しているのは減価償却制度を濫用するものであるとは認められないなどとして,前記請求を認容した事例

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