裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成19(行ス)4
- 事件名
執行停止申立却下決定に対する抗告事件(原審・大阪地方裁判所平成19年(行ク)第7号)
- 裁判年月日
平成19年3月1日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
住民基本台帳法8条に基づく職権による消除によって住民票を消除されようとしている者がした同処分の仮の差止めの申立てが,認容された事例
- 裁判要旨
住民基本台帳法8条に基づく職権による消除によって住民票を消除されようとしている者がした同処分の仮の差止めの申立てにつき,前記処分により,少なくとも市議会議員の一般選挙において選挙権を行使することが極めて困難にならざるを得ないのであり,憲法15条1項,3項,93条2項等によって保障されている選挙権を行使する権利が侵害されるというべきであるところ,選挙権は憲法によって保障され,当該権利又はその行使を制限することが原則として許されない国民の重要な権利であるにとどまらず,侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものであることにかんがみると,前記申立てに係る本案の訴えは行政事件訴訟法37条の4第1項にいう「重大な損害を生ずるおそれがある場合」の要件を満たし,前記申立ては同法37条の5第2項にいう「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があ」るの要件をも満たすというべきであり,また,前記の者の住所は,同人の住民票に住所として記載された場所ではなく,同人が主として利用している簡易宿所の所在地であると認められるところ,市が,簡易宿所業者の組合との間で簡易宿所における居住実態を明らかにするための何らかのルール作りについて調整を進めているところであるという状況の下においては,前記処分がされた後前記選挙の投票日までに,前記の者が前記簡易宿所の所在地に住所を有するものとして職権による住民票の回復を受け又は選挙管理委員会により公職選挙法27条1項の規定による住所を有しなくなった旨の表示の抹消を確実に受けることができるとはにわかに認め難く,前記選挙の際に前記の者において投票事務従事者に対し投票が認められるために必要な,前記表示が誤っていることを明らかにする資料の提示等を行うことが容易であるとも認め難いことに加え,前記場所と前記簡易宿所が非常に近いことなどを考慮すると,少なくとも,前記調整がまとまり,その調整が前記の者ら住民に周知されるまでは,前記場所を「住所」とみる余地も十分あるので,行政事件訴訟法37条の5第2項にいう「本案について理由があるとみえるとき」に該当するとして,前記申立てを認容した事例
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