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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)188

事件名

 違法公金支出金返還(住民訴訟)請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成16年(行ウ)第204号)

裁判年月日

 平成19年2月14日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 都知事及びその秘書の海外出張に係る旅費の支出の日から約2年6か月ないし約2年9か月を経過して住民監査請求がされたことにつき,地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」がないとされた事例

裁判要旨

 都知事及びその秘書の海外出張に係る旅費の支出の日から約2年6か月ないし約2年9か月を経過して住民監査請求がされたことにつき,地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきであるところ,住民が相当の注意力をもってする調査については,マスコミ報道や広報誌等によって受動的に知った情報だけに注意を払っていれば足りるものではなく,住民であれば誰でもいつでも閲覧できる情報等については,それが閲覧等をすることができる状態に置かれれば,そのころには住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて知ることができるものというべきであるとした上,都の住民は,東京都情報公開条例に基づき,実施機関に対し,財務会計上の行為の完了の日と近接した日から,当該行為に関する公文書の開示請求をすることができ,実施機関は,非開示事由に該当しない限り,当該公文書を開示すべきものであるから,当該公文書に財務会計上の行為の内容が記載されており,これに関係法令や条件を適用することにより当該行為の適否を知ることが可能となる場合は,当該公文書が開示されると,住民は,監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在及び内容を知ることができるものと考えられるから,当該住民は,財務会計上の行為について監査請求をする前提として,同条例に基づく開示請求をすることで相当の注意力をもって調査したことになり,逆に開示請求をしないままでいる場合には相当の注意力をもって調査したとはいえないと解するのが相当であるところ,前記出張に係る文書については,旅費が支給された日と近接した日ころには閲覧等をすることができる状態に置かれて開示請求をすることができたと推認し得るし,同文書の内容からして,開示の対象となった前記出張に係る公文書により客観的にみて監査請求をするに足りる程度に前記出張に係る財務会計行為の存在を知ることができたというべできあるから,前記住民監査請求には,地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」がないとした事例

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