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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)124

事件名

 健康保険受給権確認請求事件

裁判年月日

 平成19年11月7日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 健康保険法63条1項に規定する「療養の給付」に当たる療養(インターフェロン療法)に加えて,「療養の給付」に当たらない療養(活性化自己リンパ球移入療法)を併用する診療(いわゆる混合診療)を受けた場合であっても,「療養の給付」に当たる診療については,なお同法に基づく「療養の給付」を受けることができる権利を有することの確認を求める請求が,認容された事例

裁判要旨

 健康保険法63条1項に規定する「療養の給付」に当たる療養(インターフェロン療法)に加えて,「療養の給付」に当たらない療養(活性化自己リンパ球移入療法)を併用する診療(いわゆる混合診療)を受けた場合であっても,「療養の給付」に当たる診療については,なお同法に基づく「療養の給付」を受けることができる権利を有することの確認を求める請求につき,同法及び同法の委任を受けて設けられた平成18年厚生労働省告示第92号「診療報酬の査定方法」及び同告示第95号「使用薬剤の薬価(薬価基準)」を検討しても,個別的に見れば「療養の給付」に該当する医療行為であっても,それに保険診療として承認されていない医療行為が併せて行われると,それらを一体とみて,前者についても「医療の給付」に該当しないと解釈すべき手がかりは,何ら見出すことができないばかりか,これらによれば,同法は,個別の診療行為ごとに同法63条1項の「療養の給付」に当たるかどうかを判断する仕組みを採用していると言うべきであり,また,同法86条の保険外併用療養費制度及び同法(平成18年法律第83号による改正前)86条の特定療養費制度は,「療養の給付」と截然と区別された制度の下で,告示に個別,具体的に列記された高度先進医療等についてそれに要した費用を支給する制度であると解され,およそ,保険診療と自由診療の組み合わせを全体的,網羅的に対象として,その中から保険給付に値する組み合わせを拾い上げて保険給付の対象とした制度であることは窺えないから,当該制度に該当しない保険診療と自由診療の組み合わせがされたからといって,その保険診療について,同法63条1項の「療養の給付」を受けられないということにはならないことからすれば,同法及びその委任を受けた告示等によって,「療養の給付」に含まれるインターフェロン療法を受けることのできる権利を有する以上,これと活性化自己リンパ球移入療法が併用された場合であっても,インターフェロン療法については健康保険法の適用があり,被保険者から「療養の給付」として当該療養を受けることができる権利をなお有すると解すべきであるとして,前記請求を認容した事例

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