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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)236

事件名

 文書非開示処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第106号)

裁判年月日

 平成19年5月10日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,非管理職職員の氏名及び印影が,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条2号本文に非開示情報として規定する個人識別情報に該当するとされた事例 
2 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,取扱者出納簿,取扱者証拠書類,中間者出納簿,中間者証拠書類,取扱者領収書及び中間者領収書に記載された非管理職職員である警察職員の氏名及び印影に含まれる情報が,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条4号に非開示情報として規定する秩序維持情報に該当するとされた事例 
3 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,領収書に貼られた印紙の割り印の印影につき,いずれも東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条2号本文に非開示情報として規定する個人識別情報に該当するとされた事例 
4 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,領収書に押捺された法人又は法人代表者の印影に含まれる情報が,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条3号本文に非開示情報として規定する法人等情報に該当しないとされた事例 
5 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,領収書に押捺された法人又は法人代表者の印影に含まれる情報が,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条4号に非開示情報として規定する秩序維持情報に該当しないとされた事例 
6 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,法人の発行した領収書に記載された当該法人の職員個人に付与された番号の情報が,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条2号本文に非開示情報として規定する個人識別情報に該当するとされた事例

裁判要旨

 1 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,非管理職職員の氏名及び印影が東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条2号の非開示情報(個人識別情報)に該当するかにつき,前記各情報は,個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものであるから,前記条例7条2号本文所定の「個人に関する情報」に当たり,他の地方公共団体又は警察において,非管理職職員の氏名,印影を開示した事実のみでは,他の道府県の各警察本部長において,非管理職職員の役職,印影を開示することが慣行となっていたことまでを認めることはできないから,同号ただし書イには当たらないとして,前記条例7条2号本文に非開示情報として規定する個人識別情報に該当するとした事例 
2 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,取扱者出納簿,取扱者証拠書類,中間者出納簿,中間者証拠書類,取扱者領収書及び中間者領収書に記載された非管理職職員である警察職員の氏名及び印影に含まれる情報につき,警察職員の配置を含む警察業務に関する情報は,一般市民にとってささいな情報であっても,犯罪の実行や仕返しをもくろむ個人や組織にとっては貴重な情報となることがあり,犯罪捜査や警察規制を業務とする警察は,そのような情報が犯罪組織等に入手されることを防止する必要があるとした上,前記情報を公にすることにより,当該非管理職職員である警察職員及びその家族の生命若しくは身体又はその地位若しくは正常な生活への不法な侵害等を誘発し,それによって犯罪の予防及び捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるとして,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条4号に非開示情報として規定する秩序維持情報に該当するとした事例 
3 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,領収書に貼られた印紙の割り印の印影につき,いずれも特定の個人を識別することができるものであり,同号ただし書イに規定する「法令等の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている」とは認められないから,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条2号本文に非開示情報として規定する個人識別情報に該当するとした事例 
4 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,領収書に押捺された法人又は法人代表者の印影に含まれる情報につき,これらは,いずれも領収証を発行した法人の銀行印の印影ではないものと認められるから,これを開示しても,当該法人の競争上又は事業運営上の地位,社会的信用その他正当な利益が損なわれると認めることはできないとして,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条3号本文に非開示情報として規定する法人等情報に該当しないとした事例 
5 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,領収書に押捺された法人又は法人代表者の印影に含まれる情報につき,これらは,いずれも領収証を発行した法人の銀行印の印影ではないものと認められるから,これを公にすることによって,偽造等の犯罪行為を容易にし,犯罪の予防等に支障を及ぼすおそれがあるものと判断したことに,相当の理由があるということはできないとして,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条4号に非開示情報として規定する秩序維持情報に該当しないとした事例 
6 警視庁本部少年事件課及び交通捜査課の捜査報償費(都費)の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類に記録された情報のうち,法人の発行した領収書に記載された当該法人の職員個人に付与された番号の情報につき,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)7条2号本文にいう「他の情報」とは,既に公知となっている情報や当該個人に関する情報を容易に取得することができる情報に限られるものではないが,当該個人しか知り得ない情報やごく限られた範囲の者しか知り得ない情報は含まれないとした上,前記情報は,同法人の内部において調製されているものと考えられる職員録等と照合すれば,同番号に係る職員を特定することは可能であると考えられるから,個人に関する情報で,特定の個人を識別することができるものであるとして,同号本文に非開示情報として規定する個人識別情報に該当するとした事例

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