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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)82

事件名

 公文書非公開決定取消,公文書非公開決定及び公文書部分公開決定取消請求控訴事件(原審・京都地方裁判所平成16年・第9号(第1事件),同第37号(第2事件))

裁判年月日

 平成19年5月18日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 府警察本部の各部署の捜査費の支出に関する捜査費証拠書のうち,一般捜査費についての捜査費支出伺,支払精算書,支払伝票及び領収証(激励慰労費に係るものを除く。)並びに現金出納簿のうち一般捜査費についての記録部分に記録された各情報が,いずれも京都府情報公開条例(平成13年京都府条例第1号)6条7号に規定する公共秩序維持情報に該当するとされた事例 
2 府警察本部の各部署の捜査費の支出に関する捜査費証拠書のうち,捜査諸雑費についての捜査費支出伺及び捜査費交付書兼支払精算書(激励慰労費に係るものを除く。)並びに現金出納簿のうち捜査諸雑費についての記録部分に記録された各情報が,いずれも京都府情報公開条例(平成13年京都府条例第1号)6条7号に規定する公共秩序維持情報に該当しないとされた事例

裁判要旨

 1 府警察本部の各部署の捜査費の支出に関する捜査費証拠書のうち,一般捜査費についての捜査費支出伺,支払精算書,支払伝票及び領収証(激励慰労費に係るものを除く。)並びに現金出納簿のうち一般捜査費についての記録部分に記録された各情報につき,京都府情報公開条例(平成13年京都府条例第1号)6条7号に規定する「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」については,その性質上,公開するか否かの判断に当たって高度の政策的判断を伴うこと,犯罪等に関する将来予測としての専門的,技術的判断を要することなどから,裁判所は,その司法審査において,同号に規定する情報に該当するか否かについての実施機関の第一次的判断を尊重し,その判断が合理性を持つものとして許容される限度内のものであるかどうかを審理,判断すべきであるとした上,?前記捜査費支出伺には,交付する捜査員の所属及び氏名,内訳として交付される職員の官職,氏名,金額,支出事由,交付年月日等が記録されるから,これらの情報が公開されると,当該捜査費が情報提供者及び捜査協力者に対して支払われる報償費である場合は,情報提供者等の割り出しの手がかりとされる危険性があり,それ以外の使途に使用される金員も,各捜査員による具体的な捜査の動向を探る手がかりとされる危険性がないとはいい難く,?前記支払精算書は,各捜査員が交付を受けた捜査費について,実際に捜査費を具体的に執行した内容に照らした精算についての情報を記録したものであって,当該情報は各捜査員による捜査費の具体的な執行についての情報というべきであり,?前記支払伝票は,中間交付者等から捜査諸雑費の交付を受けた各捜査員が,捜査諸雑費の執行を中間交付者に報告するための書類であり,捜査費の具体的な執行についての情報が当然に含まれており,?前記領収証は,支払精算書及び支払伝票に添付又は貼付されることが予定されているものであり,実際に捜査費を執行した各捜査員が,その相手から徴取するものであるから,同領収証には,捜査費の具体的な執行についての情報が含まれているというべきであり,?前記現金出納簿のうち一般捜査費の記録部分は,取扱者の捜査員に対する捜査費の交付に関する情報が記録されているものであるところ,それは各捜査員による捜査費の具体的な執行状況を推知する手がかりとなり得るものであるから,前記各情報が前記条例6条7号の非公開情報に当たるとの実施機関の判断は合理性を持つものとして許容し得るとして,前記各情報は,いずれも前記条例6条7号に規定する公共秩序維持情報に該当するとした事例 
2 府警察本部の各部署の捜査費の支出に関する捜査費証拠書のうち,捜査諸雑費についての捜査費支出伺及び捜査費交付書兼支払精算書(激励慰労費に係るものを除く。)並びに現金出納簿のうち捜査諸雑費についての記録部分に記録された各情報につき,京都府情報公開条例(平成13年京都府条例第1号)6条7号に規定する「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」については,その性質上,公開するか否かの判断に当たって高度の政策的判断を伴うこと,犯罪等に関する将来予測としての専門的,技術的判断を要することなどから,裁判所は,その司法審査において,同号に規定する情報に該当するか否かについての実施機関の第一次的判断を尊重し,その判断が合理性を持つものとして許容される限度内のものであるかどうかを審理,判断すべきであるとした上,前記捜査費支出伺は,取扱者の中間交付者に対する捜査諸雑費の交付に関する情報が記録されるものであり,前記捜査費交付書兼支払精算書は,あらかじめ月初めに中間交付者を経由して捜査員に交付された捜査諸雑費について,中間交付者等が取扱者等に対し,当月分の精算をするために作成される書類であって,中間交付者が各捜査員に対して交付した現金に照らして精算についての情報が記録されているものであり,前記現金出納簿のうち捜査諸雑費の記録部分は,取扱者の中間交付者に対する捜査諸雑費の交付に関する情報が記録されるものであり,いずれも具体的な捜査状況が推測できるものとは考え難く,捜査費の具体的な執行状況についての情報が記録されているということはできないから,前記各情報が前記条例6条7号の非公開情報に当たるとの実施機関の判断は合理性を欠き,許容し得るものではないとして,前記各情報は,いずれも前記条例6条7号に規定する公共秩序維持情報に該当しないとした事例

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